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[R1-09] 青海地域に産する含苦土アルベゾン閃石アルビタイト中の亜鉛を含む鉱物の多様性とその地質学的意義
キーワード:アルビタイト、6配位の亜鉛、ソーコン石、酸素フガシティ、青海蛇紋岩メランジュ
亜鉛(Zn)は異なる3つの配位子([4]Zn、[5]Zn、[6]Zn)をもつ。普遍的なZn鉱物の閃亜鉛鉱のZnは4配位である。一方、蛇紋岩に伴うアルカリ交代岩類では、[6]Znに富んだ含水珪酸塩鉱物を形成する。この含Zn鉱物相の種類と変化はそれを含む岩石の形成環境を束縛する手がかりの一つとなり得る。今回、青海蛇紋岩メランジュの含苦土アルベゾン閃石アルビタイトから、閃亜鉛鉱とソーコン石、そしてZnに富む含水珪酸塩鉱物を確認した。青海の含苦土アルベゾン閃石アルビタイトは、ストロンチオ直方ホアキン石(奴奈川石)や閃亜鉛鉱を少量含む。奴奈川石のZn含有量は~8,000 µg/g と、共生する青海石に比して著しく高い。ソーコン石(33–37 wt% ZnO)は閃亜鉛鉱および奴奈川石に密接に伴われるが、閃亜鉛鉱内部のクラックを充填する二次的な産状のものも存在する。初生的な閃亜鉛鉱の存在は、アルビタイト形成に関わる流体が硫黄の他、亜鉛を供給したことを意味する。[4]Znの閃亜鉛鉱は、高いfS2の環境下で生成されたものの、岩石中でfO2が増大すると流体に溶解して二次的なソーコン石を形成したと考えられる。