一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R1:鉱物記載・分析評価(宝石学会(日本) との共通 セッション)

2022年9月18日(日) 09:00 〜 12:15 B251 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 黒澤 正紀(筑波大学)、坂野 靖行(産総研)、門馬 綱一(国立科学博物館)

11:45 〜 12:00

[R1-11] 福岡県田川郡川崎町小峠ペグマタイト産ネオジムフランソワ石

*上原 誠一郎1、濱崎 和博2、行則 功2、久保園 達也2 (1. 九大・博物館、2. 福岡石の会)

キーワード:ネオジムフランソワ石、ケララ石、小峠ペグマタイト、福岡県田川郡川崎町小峠

ネオジムフランソワ石(Françoisite-(Nd))は1988年にDeliensとPiret-Meunierにより報告された燐ウラニル石族の新鉱物で理想化学式はNd(UO2)3O(OH)(PO4)2・6H2Oとされる。模式地はコンゴ民主共和国コルウェッジ鉱区コモトで,ベルギーの地質学者で鉱山会社の所長を務めたArmand Françoisにちなんで命名された。その後Ce置換体が2004年に承認された。 我々は福岡県田川郡川崎町小峠ペグマタイト構成鉱物の調査中に日本新産のネオジムフランソワ石を確認した。今回検討した試料は1989年9月に当時,福岡石の会会長を務めていた故矢野正一氏が収集した標本他で,九州・山口の鉱物で燐ウラニル石として報告した。淡褐色から紅色の曹長石を主とするペグマタイト鉱石中にケララ石,閃ウラン鉱濃集部があり,茶褐色に変色している。変色部の割れ目や微細な晶洞中に非常に小さな鮮黄色針状の集合体,あるいは曹長石の割れ目にネオジムフランソワ石はカオリン鉱物とともに産する。他にバストネス石,燐灰石,緑色透明のイライト,燐灰ウラン石,放射状のジルコンなどを伴う。