一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

ポスター

R1:鉱物記載・分析評価(宝石学会(日本) との共通 セッション)

2022年9月18日(日) 09:00 〜 17:00 B256 (総合教育研究棟 B棟2F)

09:00 〜 17:00

[R1P-09] 福島県田村市羽山岳のペグマタイトから産出するフェロホルムクイスト閃石について

*浜根 大輔1、橋本 悦雄、原田 誠治 (1. 東大・物性研)

キーワード:フェロホルムクイスト閃石、ペグマタイト、羽山岳

福島県田村市羽山岳のペグマタイトからフェロホルムクイスト閃石を見出した。長さ1cm、幅2mmの板状から針状結晶で、ガラス質の光沢と濃紺色を呈し、放射状の集合体を作ることもある。経験式はAB(Li1.82Na0.13fromC0.05) Σ2C(Fe2+2.63Mg0.29Mn0.19Al1.69Fe3+0.26)Σ5. 05Si8O22(OH)2、空間群Pnmaのユニットセルパラメータはa = 18.377(5) Å, b = 17.782(7) Å, c = 5.300(2) Å, V = 1731.8(11) Å3である。Liは本来なら電気石に取り込まれやすいが、羽山岳では石灰岩とペグマタイトとの反応で斧石が生じており、そこでBが先に消費されたためにBを必須とする電気石が生じなかった。その結果として余剰のLiが角閃石に取り込まれることになり、フェロホルムクイスト閃石という稀種が出現したのだろう。