一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2022年9月19日(月) 09:00 〜 12:15 B251 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 山根 崚(東北大学)、大藤 弘明(東北大学)、小松 一生(東京大学)

09:45 〜 10:00

[R2-04] 福徳岡ノ場由来の漂着軽石からのケイ酸カリ鉱物肥料合成 -予察報告-

*大藤 弘明1、浦添 春記1 (1. 東北大・院理)

キーワード:軽石、カリ質ケイ酸質肥料、カリオフィライト

本研究は,福徳岡ノ場由来の漂着軽石を原料にしてカリ質ケイ酸質鉱物肥料の合成を試みるものであり,今回はその予察研究の結果を報告する.カリウムは植物の必須栄養素であり,ケイ酸も非晶質シリカを組織内に蓄積するイネにとって重要であるため,それらを主要に含む「けい酸加里」肥料は,水稲用肥料として長く製造,販売,使用されてきた.「けい酸加里」は石炭火力発電で生じるフライアッシュを原料にしてつくられるが,福徳岡ノ場由来の軽石もこれによく似た組成を有するため,材料になり得ると考えた.そこで軽石にKOHを添加して高温焼成したところカリオフィライト(KAlSiO4)を主体としたプロダクトが得られた.カリオフィライトは,市販の「けい酸加里」肥料の主要構成鉱物であり,他のカリウムケイ酸塩に比べて酸性環境下での溶解性が高い特徴がある.軽石は全体的にガラス質でフライアッシュに比べて反応性が高いため,より簡便かつ低コストに「けい酸加里」相当品をつくれる可能性が高い.