R2：結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

[R2-07] ウッシング石(Na₂AlSi₃O₈OH)におけるSi-Alの配置と水素結合:多核種NMR及び第一原理計算による解明

*薛 献宇¹ (1. 岡大・惑星研)

キーワード：ウッシング石、Si-Al無秩序、水素結合、核磁気共鳴法、第一原理計算

ウッシング石(Na₂AlSi₃O₈OH)はユニークな部分的切断されたフレームワーク構造を持つ鉱物であり、４つの４配位(T)席(T1，T2：Q⁴；T3，T4：Q³)、及び強い水素結合を特徴とする。完全秩序構造の場合は、T1はAl, T2-T4はSiに占有されるが、Si-Al秩序度については不明な点が多い。本研究では、様々な多核(¹H, ²⁹Si, ²⁷Al, ²³Na)NMR測定と第一原理計算により、T1-T2席（共にQ⁴）の間に約3.5%のSi-Alの交換が存在し、それに伴い、完全秩序構造より強い及び弱い水素結合を持つOHが生じていることを明らかにした。本研究により、不完全重合構造を持つアルミノケイ酸塩におけるSi-Alの配置傾向、並びにその水素結合距離への影響に関する新たな洞察を提供した。