一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2022年9月19日(月) 09:00 〜 12:15 B251 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 山根 崚(東北大学)、大藤 弘明(東北大学)、小松 一生(東京大学)

11:15 〜 11:30

[R2-09] Ba含有カルサイトにおける炭酸イオンの静的無秩序状態の実験的証拠

*鍵 裕之1、丸形 詩歩1、伊地知 雄太1、小松 一生1、薛 献宇2、杉山 和正3 (1. 東大・院理、2. 岡山大・惑星物質研、3. 東北大・金研)

キーワード:非晶質炭酸カルシウム、バリウム、方解石、静的無秩序

炭酸カルシウムにはカルサイト、アラゴナイト、ファーテライトの3つの多形がある。SrあるいはBaを高濃度で取り込んだ非晶質炭酸カルシウムを合成し、それを高圧あるいは高温条件下で急速に結晶成長させると不適合元素であるSrあるいはBaを最高で70%近く取り込んだ“カルサイト”が得られ、単位胞体積が増加するとともに113反射が消失し、CO3イオンが無秩序状態となる。Baを含有するカルサイトでの113反射の消失は室温条件で観察されており、Saito et al. (2020)は分子動力学計算に基づいて、CO3イオンがわずかずつ歪んだ構造に配置されている静的無秩序状態を提案した。本研究ではバリウムを構造中に取り込んだカルサイトを試料として、さまざまな実験的手法を用いて、このモデルの正当性を検討した。