一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2022年9月19日(月) 09:00 〜 12:15 B251 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 山根 崚(東北大学)、大藤 弘明(東北大学)、小松 一生(東京大学)

11:30 〜 11:45

[R2-10] Portlandite Ca(OH)2からの炭酸カルシウム生成メカニズム

*興野 純1、長谷川 拓紀1、岡田 慧1 (1. 筑波大学・生命環境系)

キーワード:二酸化炭素回収・貯留、ポートランド石、方解石、アラゴナイト、バテライト

大気中の温室効果ガスの影響で地球の気温が上昇する地球温暖化問題は,人類の生存を脅かしかねない極めて深刻な問題である.本研究では,炭酸塩化プロセスで形成される炭酸カルシウムに着目して実験を行った. 実験は,合成したportlanditeをCO2ガスに満たしたデシケータ内に置き,相対湿度(RH) = 0%,30%,60%,99%に保持して,一定時間CO2ガスに晒した.放射光粉末X線回折(XRD)測定は,KEK-PF,BL8Bで実施した. 実験の結果, RH = 0%では3週間でも炭酸カルシウムは形成されなかった.一方,RH = 30%では2日後にcalciteが形成し,RH = 99%では24時間後に完全にcalciteに変化していた.ところが,RH = 60%では,12時間後からcalciteだけでなく,aragoniteとvateriteの3相の回折ピークが確認され,少なくとも14日後まで存続した.本研究の結果, portlanditeの炭酸塩化はRH = 60%のときには,RH = 30%,99%のときとは異なる反応経路を示す可能性が確認された.