一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R3:高圧科学・地球深部

2022年9月18日(日) 09:00 〜 12:15 B253 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 川添 貴章(広島大学)、西 真之(大阪大学)

09:00 〜 09:15

[R3-01] ジルコンのラマンスペクトルの温度圧力依存性:水–アルカリケイ酸塩系実験の圧力計としての応用

*高橋 菜緒子1、小林 大輝1、鍵 裕之1 (1. 東大・院理)

キーワード:ジルコン、ラマン分光法、ダイヤモンドアンビルセル、圧力計

ジルコンのSiO4四面体構造の逆対称伸縮振動 (ν 3) に由来するラマンシフトは、ダイヤモンドアンビルセル (DAC) を用いた高温高圧実験の圧力計として使えることが知られている。先行研究では、高温下におけるν3ラマンシフトの圧力依存性は、700℃で最高1.2 GPaまで報告されている。本研究は、外熱式DACを用いてジルコンのラマンスペクトルの圧力依存性を高温下で最高9 GPaまで調べた。ルビー蛍光法で測圧を行いながら室温で加圧した結果、圧力–ν3ラマンシフト関係の線形回帰から5.57(3) cm-1/GPaが得られた。また、ジルコンのSiO4四面体の対称伸縮 (ν1)、変角または回転 (ν4) に由来するバンドは、それぞれ5.06(7) cm-1/GPa、4.32 (3) cm-1/GPaを示した一方、~200 cm-1 200) に現れるバンドは低波数側にシフトした。これらの結果は、ν200に対するν1ν3ν4の相対波数が圧力推定に有用であることを示す。さらに本発表では、高温高圧その場XRD実験によって決定された圧力を基に、高温下でのジルコンのラマンスペクトルの圧力依存性を議論する。