一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R4:地球表層・環境・生命

2022年9月19日(月) 14:15 〜 15:15 B253 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 川野 潤(北海道大学)

14:45 〜 15:00

[R4-14] スメクタイト層間主要陽イオンの分光学的キャラクタリゼーション

*野路 陽平1、福士 圭介2、徳門 弘都1 (1. 金沢大・院自然、2. 金沢大・環日)

キーワード:スメクタイト、FT-IR、Mars2020

現在の火星は寒冷・乾燥化した惑星であるが、過去には温暖な時期があり、表面では大規模な水循環が存在していた。NASAの火星探査車パーシビアランスは、かつての湖沼であったジェゼロクレーターを探査している。ジェゼロクレーターには、湖沼堆積物にスメクタイトなどの鉱物が存在することが確認されている。溶液中でスメクタイト構造内の層間陽イオンは溶液内の陽イオンと交換しやすいという性質を持つ。したがって、スメクタイトの層間陽イオン組成からかつて接触していた間隙水の水質を制約することが可能である。パーシビアランスはラマン分光および可視近赤外分光装置を搭載しており、スメクタイトなどの粘土鉱物に対して分析を行う。本研究ではパーシビアランスの分光測定データから層間陽イオン組成を見積もる方法を確立するために、実験室で作成した層間陽イオン種の割合が既知なスメクタイトの赤外分光測定を行った。その測定データの吸収率の増減や、ピーク位置のシフトについて分析し、今後パーシビアランスが火星で測定したスメクタイトの分光測定の結果と比較して、火星のスメクタイトの層間陽イオン組成を決定することができるのかについて検討した。