一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R5:地球外物質

2022年9月17日(土) 09:30 〜 12:30 B251 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 松本 恵(東北大学)、瀬戸 雄介(大阪公立大学)

10:15 〜 10:30

[R5-04] Aguas Zarcas隕石の鉱物学的研究

*荻谷 賢英1、松本 徹2、三宅 亮2 (1. 東大・院理、2. 京大・理)

キーワード:炭素質コンドライト、TCI、走査型電子顕微鏡、エネルギー分散型X線分光器

CM2コンドライトと分類されたAguas Zarcasは複数の岩相を含んでいると報告されており、CMコンドライトに一般的でない金属に富む岩相の存在から、CRコンドライト母天体との衝突によりAguas Zarcas母天体が形成されたと考察されている(Kerraouch et al., 2021)。本研究に用いた試料では初期分析や先行研究にて記載のない岩相を含む四つの岩相、 Clast-1 ~ -4を含んでいた。Clast-1はKerraouch et al. (2021) には記載がなく、本研究でAguas Zarcasにこれまでに未知である岩相が含まれていることを示した。また、先行研究において記載のあった金属に富む岩相と、本研究のClast-3及び-4は類似した岩石学・鉱物学的特徴を有していた。しかしながら本研究ではClast-3、4について、先行研究では考察されていないCMコンドライトの水質変成の程度が非常に小さいものである可能性を示した。このことから、本研究からはAguas Zarcasの母天体が従来考えられていたよりも多様な水質変成の程度を示す岩相が母天体に含まれていたことを示唆する結果が得られた。