一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R5:地球外物質

2022年9月17日(土) 09:30 〜 12:30 B251 (総合教育研究棟 B棟2F)

座長: 松本 恵(東北大学)、瀬戸 雄介(大阪公立大学)

11:45 〜 12:00

[R5-09] 小惑星リュウグウ試料における無水鉱物の宇宙風化と 粒子表面の凝縮層の観察

*松本 徹1、野口 高明1,2、三宅 亮1、伊神 洋平1、治田 充貴1、斉藤 光2、波多 聰2、瀬戸 雄介3、宮原 正明4、富岡 尚敬5、圦本 尚義6、中村 智樹7、薮田 ひかる4、奈良岡 浩2、岡崎 隆司2 (1. 京都大、2. 九州大、3. 大阪公大・理、4. 広島大・理、5. 海洋機構、6. 北大・理、7. 東北大・理)

キーワード:はやぶさ2、リュウグウ、宇宙風化

本研究では、無水鉱物の宇宙風化による変化と凝縮物の特徴を理解することを目的として、SEMとTEMを使ったリュウグウ試料の無水鉱物の観察を行なった。 観察の結果、硫化鉄(Pyrrhotite, Pentlandite)の表面では、結晶構造の乱れや超構造の消失が見られ、金属鉄が析出していた。金属鉄はひげ状結晶の形態を呈しており、これは月やイトカワ粒子の硫化鉄の宇宙風化組織と類似していた。一方、磁鉄鉱においても細粒(>10nm)の金属鉄が析出し表面を覆っていた。また炭酸塩表面においてC,O量の減少が見られた。これらの変化は揮発性元素である、C, O,Sが宇宙風化によって選択的に失われることを示している。一方、無水鉱物の最表面には、Si, Mgに富む薄い層が存在しており、これらは衝突由来の凝縮物であると推定される。本発表では、これら無水鉱物の宇宙風化の変化過程と、凝縮物の起源の詳細について議論する。