一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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R6:深成岩・火山岩及び サブダクションファクトリー

2022年9月18日(日) 09:00 〜 17:00 B256 (総合教育研究棟 B棟2F)

09:00 〜 17:00

[R6P-03] 北多久苦鉄質複合岩体の結晶化作用と部分溶融現象 -熱源としての可能性-

*江島 圭祐1、大和田 正明1、亀井 淳志2、山崎 徹3 (1. 山口大・創成科学、2. 島根大・学術研究院、3. 産総研)

キーワード:白亜紀、北部九州花崗岩バソリス、集積岩、親マグマ、Sanukitic高Mg安山岩

高Mg安山岩(HMA)由来の閃緑岩(HMD)などの苦鉄質マグマは,親マグマや地殻溶融の熱源として花崗岩質マグマの成因に強く関与すると考えられており,白亜紀北部九州花崗岩バソリスのマグマ成因論や地殻進化過程の包括的な理解に強い制約を持つ.本発表では未分化なマグマから晶出したCumulateを含む北多久苦鉄質複合岩体を対象とし,その岩石学的特徴および野外産状から北部九州に産するHMA由来苦鉄質岩の活動に新たな制約を与える.北多久苦鉄質複合岩体中で最も未分化組成に近いCumulateのCpxの組成から平衡メルト組成を検討するとその液組成はSanukitic HMAマグマに類似することが明らかとなった.また,北部九州に産するHMA由来のHMDはすべてSanukitic HMAマグマに類似することから,HMAマグマが空間的な広がりを持っていたことが推察される.さらに,その初生マグマと共存したマントルかんらん岩の組成はCr#>0.5が推定され,このようなソースマントルは日本列島下のマントル物質としては十分にありえる枯渇度である.