R7：岩石・鉱物・鉱床 (資源地質学会 との共催 セッション)

[R7P-01] 愛媛県芸予諸島伯方島に産する閃長岩の岩石記載

「発表賞エントリー」

*福井 堂子¹、斉藤 哲¹ (1. 愛媛大学 理工学研究科)

キーワード：閃長岩、伯方島、交代変質作用

閃長岩はアルカリ長石に富み石英をほとんど含まない優白質な完晶質岩石であり，その成因研究は，不適合元素に富む大陸地殻の形成過程を理解する上で重要である．本研究では，愛媛県芸予諸島伯方島で新たに閃長岩を見出したことから，閃長岩の野外産状・岩石記載，全岩化学組成分析をおこない，詳細な岩石学的特徴を検討するとともに，その成因を考察した． 伯方島の閃長岩には，野外産状として周囲の花崗岩からの漸移的な岩相変化がみられ，鏡下では単斜輝石及び柘榴石の粒状集合組織が認められる．また，全岩化学組成においては，伯方島の花崗岩に比べて，Na₂Oに富む（Na₂O = 6.1~6.4 wt.%）といった特徴がみられる．以上の結果から，閃長岩の成因として，村上(1976)などにより指摘された，比較的高温でNa₂Oに富むアルカリ揮発性成分が関与した交代変質作用が示唆される．