09:30 〜 17:30
[R7P-05] 秋田県白子森鉱床における銀・鉛・亜鉛・マンガン鉱化作用
キーワード:菱マンガン鉱、熱水鉱床、花崗閃緑岩
秋田県中央部に位置する太平山周辺には, 熱水性金属鉱床が数多く存在している. 白子森鉱床は太平山地の一角である秋田市河辺三内白子森山中に位置し, 白亜紀の太平山花崗岩類を母岩とする鉱脈型銀・鉛・亜鉛・マンガン鉱床である. 本研究では, 鉱床形成過程の解明を行うことを目的とし, 鉱床の記載, 鉱化流体の物理化学条件, 鉱床形成年代の決定を行うため分析を行った. 肉眼及び顕微鏡観察の結果, 本鉱床は3期の形成時期があり, それぞれのバンドで鉱物の産状や組み合わせなどに変化が見られる. 脈壁側のバンド1では, 黄色閃亜鉛鉱や方鉛鉱, 黄鉄鉱, 塊状の菱マンガン鉱が認められる. バンド2では自形の菱マンガン鉱を主とし, 少量の閃亜鉛鉱, 方鉛鉱, 重晶石を伴う. 中心部のバンド3では多量の菱マンガン鉱及び重晶石と共に, 黒色閃亜鉛鉱や方鉛鉱, 輝銀鉱, 濃紅銀鉱が産する. 鉱脈に伴うセリサイトのK-Ar年代測定の結果は, 3.43±0.1 Maで, 鮮新世に形成された鉱床であることが明らかになった. 菱マンガン鉱の組成はステージごとに変化を示し, 鉱化流体が組成や温度, 塩濃度などの条件を変化させながら鉱脈を形成したことが示唆される.