一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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R7:岩石・鉱物・鉱床 (資源地質学会 との共催 セッション)

2022年9月17日(土) 09:30 〜 17:30 B256 (総合教育研究棟 B棟2F)

09:30 〜 17:30

[R7P-11] タヒチ産カンラン岩捕獲岩に残された古溶融イベント

*秋澤 紀克1、石川 晃2、小木曽 哲3 (1. 東京大学・大海研、2. 東工大・地惑、3. 京大・人環)

キーワード:古代マントルドメイン、Re-Os 同位体、強親鉄性元素、ハルツバーガイト、ダナイト

海洋カンラン岩は海洋域での最上部マントルのカケラであり,海嶺での溶融だけでなく,それ以前の古溶融イベントも記録することが明らかになってきた.しかし,海洋カンラン岩は採取が困難であると共に採取できる地域が限られるため,古溶融イベントの理解は十分に進んでいない.本研究では,カンラン岩のOs同位体組成と強親鉄性元素組成分析を実施することで,溶融イベントや時期の推定を試みた.本研究で扱うカンラン岩は,ソサイエティーホットスポットが存在するタヒチで得られたものであり,海嶺では得られない情報が取得できると期待される.187Os/188Os同位体組成からカンラン岩の溶融モデル年代(Re枯渇年代)を見積もったところ,約14億年に達する古溶融イベントを記録するものが多く存在することが明らかになった.溶融年代はバイモーダルな頻度分布を示すため,古溶融イベントを記録するカンラン岩が海嶺で形成された“最近の”海洋プレートの下部に付け足されたと考察した.タヒチではマントルプルームの存在が認められるため,この古溶融イベントを記録するマントルドメインが,深部より上昇してきたと推察した.