一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

講演情報

口頭講演

R8:変成岩とテクトニクス

2022年9月19日(月) 09:00 〜 12:15 B351 (総合教育研究棟 B棟3F)

座長:中村 佳博(産総研)、苗村 康輔(岩手大学)

11:30 〜 11:45

[R8-10] 飛騨帯産含かんらん石ドロマイト質大理石の安定同位体地球化学

「発表賞エントリー」

*原田 浩伸1、辻森 樹1、高柳 栄子1、井龍 康文1 (1. 東北大)

キーワード:飛騨帯、ドロマイト質大理石、炭素同位体、酸素同位体、非生物的メタン合成

変成炭酸塩岩の同位体地球化学的研究は、その原岩や流体–岩石相互作用、脱炭酸反応反応などについての議論を可能にする。本講演では飛騨帯のドロマイト質大理石の炭素(C)–酸素(O)同位体分析結果を示し、飛騨帯の変成炭酸塩岩に着目した同位体地球化学的研究による新知見について紹介する。ドロマイト質大理石は含Mg方解石 + ドロマイト + かんらん石(Fo9394;一部蛇紋石化)の鉱物組み合わせを持ち、少量の金雲母やクリノヒューマイトなどを含む。このドロマイト質大理石の方解石12試料、ドロマイト2試料について炭素、酸素同位体組成分析を行った。炭素、酸素同位体組成(δ13C[‰ VPDB], δ18O[‰VSMOW])の分析結果はそれぞれ、方解石がδ13C = –3.3〜+2.8‰、δ18O = +8.6〜+17.3‰、ドロマイトがδ13C = +0.2, +0.8‰、δ18O = +17.9, +20.0‰であった。方解石のδ13Cは1試料を除いて負の値を示し、ドロマイトよりも低い傾向にあった。これはドロマイトを消費し、かんらん石を形成する脱炭酸反応によるものであると考えられる。