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[R8-13] 神居古潭変成帯・幌加内地域の泥質変成岩へのラマン炭質物温度計の適用
キーワード:神居古潭変成帯、ラマン温度計、青色片岩、沈み込み帯
幌加内地域の神居古潭変成帯からは、玄武岩質変成岩に累進的なカルシウムアルミノケイ酸塩鉱物の変化が見られる。それはローソン石が卓越する構造的下位の1帯から、上位に向かって緑簾石が出現し(2帯)、ローソン石が消滅する(3帯)ものだ。しかし、固溶体モデルや水活動度の不確かさは、定量的な温度見積もりを行う障害となってきた。 本研究では、ラマン炭質物温度計を使用した温度見積もりを試みた。幌加内北西部の長留内川沿いには泥質変成岩がよく卓越する。 筆者らは、長留内川沿いに見られる泥質変成岩9試料について炭質物ラマン温度計を適用した結果、そのうち8試料(1帯×2、2帯×6)については280−300度と一様な温度見積もりを得た。残りの1試料は約200度と低い温度を示した。さらに長留内川沿いからアクチノ閃石片岩を三箇所から見いだした。繊維状のアクチノ閃石中には、藍閃石の微細粒子や炭質物が包有されていた。その温度は350〜400度であった。以上の結果から、神居古潭変成帯の1〜2帯は低温(約300度)のプレート上面で形成された後、上昇期に350〜400度に加熱されたことが示唆される。