一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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R8:変成岩とテクトニクス

2022年9月19日(月) 09:00 〜 15:30 B256 (総合教育研究棟 B棟2F)

09:00 〜 15:30

[R8P-01] 四国中央部三波川帯権現山に産する石英エクロジャイト中の ザクロ石におけるルチル離溶ラメラ

「発表賞エントリー」

*竹林 知大1,2、纐纈 佑衣1、道林 克禎1 (1. 名古屋大・院環境、2. ふじのくに地球環境史ミュージアム)

キーワード:三波川、ザクロ石、石英エクロジャイト、ラメラ、ルチル

三波川帯権現山に産する石英エクロジャイトのザクロ石中から規則的に配列する針状の包有鉱物を、(1)コア部、(2)リム部、(3)全体に発見し、ラマン分析の結果及び規則的な配列からルチルの離溶ラメラと確認した。ザクロ石の化学組成は、Sps成分が乏しく、Prp成分に富む (i.e. タイプ1型:Enami et al., 2018)。(1)及び(3)は組成累体構造を示さず、(2)は不均質な組成累体構造を示す。ザクロ石中のルチル離溶ラメラは、合成実験においても超高圧(超高温)での議論がなされ、天然の産出例として超高圧(超高温)以上のザクロ石からの報告例に限られた。一方、三波川帯における石英エクロジャイトは超高圧条件下に達していないにも拘わらず、ルチル離溶ラメラが確認された。この意味は、ザクロ石のルチル離溶ラメラが高圧変成領域にて形成できる可能性を示唆し、変成圧力を制約する上でルチル離溶ラメラが新たな指標となる可能性を示している。本研究発表では、Ti離溶ラメラと包有鉱物の分類、産状、それらの包有物を含むザクロ石の組成について記載報告をする。