一般社団法人日本鉱物科学会2022年年会・総会

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R8:変成岩とテクトニクス

2022年9月19日(月) 09:00 〜 15:30 B256 (総合教育研究棟 B棟2F)

09:00 〜 15:30

[R8P-09] タンザニア古原生代ウサガラン帯の変成履歴を読み解く:含コランダム高圧角閃岩の岩石学

*樋口 莉央1、辻森 樹2、ボニフェイス ネルソン3 (1. 東北大・理・地学、2. 東北大・東北アジア、3. ダルエスサラーム大学)

キーワード:ウサガラン帯、タンザニア、大陸衝突、高圧角閃岩、グラニュライト化

太古代タンザニア地塊の南東縁に位置するウサガラン帯は、古原生代の大陸衝突型変成帯である。特に、ウサガラン帯のIshimani Suiteは古原生代のエクロジャイトを含む高圧ユニットであり、主に変成苦鉄質岩体を胚胎した正片麻岩及び泥質片麻岩で構成される。変成苦鉄質岩体は、高圧グラニュライト及びエクロジャイト相変成作用の鉱物組み合わせを保存している。本研究では、宝石質のコランダムが産するWinza村の変成苦鉄質−超苦鉄質集積岩体から採取した含コランダム角閃岩に着目し、その形成過程について考察する。含コランダム角閃岩はざくろ石からなる層と角閃石からなる層に分かれており、コランダムは両方に産する。多くのコランダムは周縁部からMg-Alスピネルに置換されており、角閃石に富む層でより顕著である。初生的なコランダムのスピネルによる置換は、減圧を伴うグラニュライト化の過程で生じたと考えられる。大陸衝突後の地殻安定化に伴い高圧角閃岩が中部地殻程度の深さでグラニュライト化を被るという現象の地質記録といえよう。本講演ではタンザニア地塊南東縁での古原生代における大陸衝突のダイナミクスについて言及したい。