10:45 〜 11:00
[S2-04] 蛇紋岩化反応における鉄の分配に対するシリカの影響
「発表賞エントリー」
キーワード:蛇紋岩化反応、シリカ、鉄の分配
マントルかんらん岩の蛇紋岩化反応は、かんらん岩中の鉄と水の酸化還元反応及び水素生成を伴う。かんらん岩には主にかんらん石(Ol)、直方輝石(Opx)が含まれ、反応経路、相対的な反応速度は温度やシリカの影響を受ける [1]。しかし、シリカが鉄の分配及び水素生成へ与える影響は明らかでない。本研究ではOl-H2O系、Ol-Opx-H2O系に対して、温度を200-400℃まで変えた実験、時間を24-360日まで変えた実験を行い、熱重量分析、磁気測定、XAFS分析で鉄の分配を詳細に調査した。シリカ活量が比較的高いOl-Opx-H2O系では300℃以上の高温では直方輝石が選択的に反応し、磁鉄鉱はほぼ生成されないことが分かった。しかしFe3+/Fe total = 0.1であり、蛇紋石がFe3+を含むことが分かった。シリカによって水素発生の要因が磁鉄鉱から蛇紋石に変わることが明らかになった。本結果を海洋底熱水変質系に適用すると、海嶺近傍ではダナイトを含む浅部で活発に水素が生成され、離れると深部から水素が生成されると考えられる。