12:00 PM - 2:00 PM
[R1P-08] Mineralogical study of tourmaline and gabbroic pegmatites in gabbro from Kajishima, Ehime Prefecture, Japan
[Presentation award entry]
Keywords:Kajishima, Gabbro, Tourmalime, Pegmatite, Magnesio-hornblend
1.はじめに
愛媛県梶島は愛媛県新居浜市の北約20 kmの瀬戸内海に位置しており、島全体が斑れい岩類からなる。梶島の斑れい岩類は5岩相に区分され、珪長質岩が斑れい岩類中や境界部に片状から塊状の岩脈として産する(堀内, 1985;下岡ほか, 2022)。また、梶島の斑れい岩中には幅1m以下の岩脈として粗粒なペグマタイトが産し、斑れい岩と珪長質岩脈の境界部に電気石が産する(吉村, 1940)。本発表では梶島の斑れい岩類に伴う電気石と斑れい岩ペグマタイトについて、その産状と鉱物学的特徴を報告する。
2.産状
梶島から産する斑れい岩ペグマタイトは斑れい岩類中に脈状または、塊状に産する。脈状のものは幅7cm程度であり、周囲の斑れい岩との境界が明瞭である。塊状のものは直径30cm程度で、斑れい岩との境界が不明瞭である。 電気石は梶島の斑れい岩類に伴い脈状・塊状に産するほか、珪長質岩脈や石英脈に伴って産する。斑れい岩類に伴い脈状に産する電気石は、幅2cm~5cm程度、黒色で母岩との境界部が緑色のものと白色のものがあった。緑色部の構成鉱物は緑泥石、苦土普通角閃石、石英、白色部の構成鉱物は石英、曹長石、灰長石、カリ長石、緑泥石である。斑れい岩類に伴い塊状に産する電気石は直径が5cm程度、黒色で放射状に伸長する。珪長質岩脈に伴い塊状に産する電気石は直径2cm程度、黒色で周縁部が緑色であった。石英脈に伴い脈状に産する電気石は幅1cm程度、褐色を帯びた黒色であった。
3.実験手法
組織観察及び化学分析にはEDSを装着したJEOL製走査型電子顕微鏡JSM-6510LVを使用した。
4.結果
化学分析の結果、脈状に産する斑れい岩ペグマタイトの構成鉱物は苦土普通角閃石、灰長石、チタン鉄鉱、磁鉄鉱、緑泥石であった。また、周囲の斑れい岩の構成鉱物であるかんらん石が斑れい岩ペグマタイト中で微量に認められた。苦土普通角閃石はラメラ状及び粒状のチタン鉄鉱のインクルージョンを特徴的に含む。ラメラ状のチタン鉄鉱は苦土普通角閃石のコア部分に多く含まれ、リム部分では明瞭に減少する。また、ラメラ状のチタン鉄鉱は苦土普通角閃石中で3方向に配列しており、離溶組織と考えられる(Figure 1)。一方、粒状のチタン鉄鉱は苦土普通角閃石中に産するほか、苦土普通角閃石に包有される灰長石・かんらん石と苦土普通角閃石との粒界に沿って産する。灰長石は半自形のものが多く、辺縁部が緑泥石に変質している。かんらん石は苦土普通角閃石中に微量に包有され、結晶の大部分が緑泥石に変質している。
斑れい岩類に伴い脈状・塊状に産する電気石は鏡下でゾーニングが見られ、コア部分は薄青色、リム部分は濃青色から褐色であった。脈状に産する電気石の鏡下観察の結果、白色の周縁部では、灰長石がへき開面や辺縁部に沿って緑泥石化しており、緑色の周縁部では、苦土普通角閃石の結晶が部分的に緑泥石化していた。化学分析の結果、X席はNa、Y席はMgに富み、鉱物種はいずれも苦土電気石であった。また、塊状の電気石と脈状の電気石の組成に大きな差異は見られなかった。ゾーニングが顕著に見られる塊状の電気石のコア部分は(Na₀.₆₃□₀.₂₃Ca₀.₁₄)(Mg₂.₀₃Fe₀.₆₇Al₀.₂₄)Al₆.₀₀(Si₅.₉₉O₁₈)(B₃O₉)(OH)₄、リム部分は(Na₀.₅₈Ca₀.₃₂□₀.₁₀)(Mg₂.₀₇Fe₀.₇₅Al₀.₁₀)Al₆.₀₀(Si₅.₉₆O₁₈)(B₃O₉)(OH)₄ であった。リム部分はコア部分に比べ、X席にCa、Y席にMg、Feを多く含む。
愛媛県梶島は愛媛県新居浜市の北約20 kmの瀬戸内海に位置しており、島全体が斑れい岩類からなる。梶島の斑れい岩類は5岩相に区分され、珪長質岩が斑れい岩類中や境界部に片状から塊状の岩脈として産する(堀内, 1985;下岡ほか, 2022)。また、梶島の斑れい岩中には幅1m以下の岩脈として粗粒なペグマタイトが産し、斑れい岩と珪長質岩脈の境界部に電気石が産する(吉村, 1940)。本発表では梶島の斑れい岩類に伴う電気石と斑れい岩ペグマタイトについて、その産状と鉱物学的特徴を報告する。
2.産状
梶島から産する斑れい岩ペグマタイトは斑れい岩類中に脈状または、塊状に産する。脈状のものは幅7cm程度であり、周囲の斑れい岩との境界が明瞭である。塊状のものは直径30cm程度で、斑れい岩との境界が不明瞭である。 電気石は梶島の斑れい岩類に伴い脈状・塊状に産するほか、珪長質岩脈や石英脈に伴って産する。斑れい岩類に伴い脈状に産する電気石は、幅2cm~5cm程度、黒色で母岩との境界部が緑色のものと白色のものがあった。緑色部の構成鉱物は緑泥石、苦土普通角閃石、石英、白色部の構成鉱物は石英、曹長石、灰長石、カリ長石、緑泥石である。斑れい岩類に伴い塊状に産する電気石は直径が5cm程度、黒色で放射状に伸長する。珪長質岩脈に伴い塊状に産する電気石は直径2cm程度、黒色で周縁部が緑色であった。石英脈に伴い脈状に産する電気石は幅1cm程度、褐色を帯びた黒色であった。
3.実験手法
組織観察及び化学分析にはEDSを装着したJEOL製走査型電子顕微鏡JSM-6510LVを使用した。
4.結果
化学分析の結果、脈状に産する斑れい岩ペグマタイトの構成鉱物は苦土普通角閃石、灰長石、チタン鉄鉱、磁鉄鉱、緑泥石であった。また、周囲の斑れい岩の構成鉱物であるかんらん石が斑れい岩ペグマタイト中で微量に認められた。苦土普通角閃石はラメラ状及び粒状のチタン鉄鉱のインクルージョンを特徴的に含む。ラメラ状のチタン鉄鉱は苦土普通角閃石のコア部分に多く含まれ、リム部分では明瞭に減少する。また、ラメラ状のチタン鉄鉱は苦土普通角閃石中で3方向に配列しており、離溶組織と考えられる(Figure 1)。一方、粒状のチタン鉄鉱は苦土普通角閃石中に産するほか、苦土普通角閃石に包有される灰長石・かんらん石と苦土普通角閃石との粒界に沿って産する。灰長石は半自形のものが多く、辺縁部が緑泥石に変質している。かんらん石は苦土普通角閃石中に微量に包有され、結晶の大部分が緑泥石に変質している。
斑れい岩類に伴い脈状・塊状に産する電気石は鏡下でゾーニングが見られ、コア部分は薄青色、リム部分は濃青色から褐色であった。脈状に産する電気石の鏡下観察の結果、白色の周縁部では、灰長石がへき開面や辺縁部に沿って緑泥石化しており、緑色の周縁部では、苦土普通角閃石の結晶が部分的に緑泥石化していた。化学分析の結果、X席はNa、Y席はMgに富み、鉱物種はいずれも苦土電気石であった。また、塊状の電気石と脈状の電気石の組成に大きな差異は見られなかった。ゾーニングが顕著に見られる塊状の電気石のコア部分は(Na₀.₆₃□₀.₂₃Ca₀.₁₄)(Mg₂.₀₃Fe₀.₆₇Al₀.₂₄)Al₆.₀₀(Si₅.₉₉O₁₈)(B₃O₉)(OH)₄、リム部分は(Na₀.₅₈Ca₀.₃₂□₀.₁₀)(Mg₂.₀₇Fe₀.₇₅Al₀.₁₀)Al₆.₀₀(Si₅.₉₆O₁₈)(B₃O₉)(OH)₄ であった。リム部分はコア部分に比べ、X席にCa、Y席にMg、Feを多く含む。