9:30 AM - 9:45 AM
[R2-03] Revisiting the mechamism of mixed alkali effect in silicate glass/liquid
Keywords:Silicate Liquid, Silicate Glass, Molecular Dynamics Simulation, Mixed Alkali Effect
珪酸塩液体及びガラスは二酸化珪素とその他の酸化物で構成され、SiO4四面体が頂点共有したネットワーク、及びそれを所々切断するネットワーク修飾子の二要素でその構造の特徴を表すことができる。ネットワーク修飾子は主にアルカリとアルカリ土類金属イオンであり、ガラスおよび液体中にアルカリおよびアルカリ土類金属が複数種含まれる場合、混合アルカリ効果という物性異常が現れる。混合アルカリ効果は二つの異常がある、一つはアルカリイオンの拡散係数が低下すること、もう一つは粘性が低下することである (Day, 1976, J. Non-Cryst. Sol.)。古くから知られている物性異常でこれまで多くの研究がなされてきており、分子動力学法を用いた研究によるとアルカリイオンの拡散係数の低下はお互いの拡散経路を阻害しあうことによって起こるとされている (Habasaki et al., 1995, J. Non-Cryst. Sol.)。しかしながら、その経路に関する統計的解析がなされておらず、例えvan Hove関数のDistinct-Partから異種のアルカリ元素同士による拡散の阻害が確認されたとしても同種同士の経路が接続していれば拡散係数の低下は起きないはずである。粘性の低下については、Wilkinson ら(2019, J. Phys. Chem. B)は後述の機構で説明できるとしている。異なるイオン半径、電荷をもつアルカリおよびアルカリ土類金属の周囲のシロキサン結合は異なった架橋角を好む。もし単一のアルカリ元素だけ存在していれば、架橋に対する歪みは発生しないが異種のアルカリ元素が存在する場合は架橋に対する歪みが発生しそれがガラス移転温度の低下につながるとしている。 本研究では他研究より粒子数および実時間を大きく取った分子動力学シミュレーションによって混合アルカリ効果の機構について再考した。アルカリの混合によるアルカリイオンの拡散係数の低下の解析についてはvan Hove関数のDistinct-Partの解析に加え、経路の解析にはドロネー分割に基づくシンプレックス解析 (Noritake, 2017, J. Non-Cryst. Sol.)を用いた。粘性の低下についてはアルカリの混合による架橋角の変化というジオメトリーの変化ではなくトポロジーの変化を明らかにするために、Qnijkl解析とリングスペクトル解析を開発しそれを適応した (Noritake & Naito, 2023, J. Non-Cryst. Sol.)。計算した系は3[(1-x)Na2O・xK2O]SiO2系で、ユニットセル内の粒子は9996、原子間ポテンシャルはPedoneら(2006, J. Phys. Chem. B)の二体間ポテンシャルを用いた。 酸素シンプレックス解析の結果、単一のアルカリだけが存在している場合、アルカリ元素を内包する酸素シンプレックスのうち9割以上が接続し拡散経路を形成している。しかしながらアルカリの添加によって半数から八割程度がサブクラスタへと分解してしまう。そのため、異種のアルカリ同士で拡散阻害によって拡散係数が低下する。 シミュレーションで得られた応力の時間発展から線形応答理論を用いて計算された粘性はx = 0.25に極小値を持つ。しかしながら、トポロジーの変化は線形で、またその配置エントロピー変化も粘性率に対して非常に小さかった。