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[R3-08] Elastic anomaly at the spin transition in ferropericlase: Revisited by GHz-DAC Ultrasonic Velocity Measurement newly developed
Keywords:Ferropericlase, Spin transition, GHz method, Diamond Anvil Cell
地球内部構造は地震波速度構造として調べられてきており、地球構成物質の高圧・高温下での音速データ取得は重要である。物質の音速を測定する方法の一つである超音波法は、試料に弾性波を入れ、その伝播する速度を測定する。また、GHz帯の細かい弾性波を伝播させることで、10μmオーダー厚みの試料の音速を計測することが可能である。この手法を「ギガヘルツ(GHz)法」と呼んでいる。GHz法は、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)で圧縮された試料の弾性波速度を測定することができる。ブリルアン散乱やピコ秒超音波と比較して、本手法は鉄等の不透明試料の縦波速度・横波速度(VP&VS)の両方を測定することができる。 このようなGHz法の特徴を生かし、(Fe,Mg)Oフェロペリクレースの音速測定に取り組んでいる。フェロペリクレースは、地球の下部マントルで2番目に多く含まれる鉱物である。これまでの研究で、フェロペリクレース中の鉄イオンが地球下部マントル中部域の圧力(40〜60 GPa)でスピン転移を起こすことが明らかになっている。この鉄-スピン転移は、粘性や音速など様々な物理特性に影響を与える。特に、速度測定によるスピン転移の検出はブリルアン散乱法やX線非弾性散乱法を用いた実験で行われているが、先行研究の中でも相違点がある。例えば、Yan et al.2015では可視光を用いて(Mg0.92Fe0.08)O の音速を測定し、40~60 GPaの圧力領域でVPの減衰を確認した。しかし、X線非弾性散乱法を用いて(Mg0.83Fe0.17)O の音速を測定したAntonangeli et al.2011では、同様の速度異常は観測されなかった。そこで我々は、GHz法とDACを組み合わせたGHz-DAC音速測定法を用いて、(Mg0.83Fe0.17)Oと(Mg0.83Fe0.17)Oの高圧下でのVPとVSを測定し、このような弾性異常が検出されるかを再検討する。 今回の発表では、GHz-DAC音速測定法の進展状況を紹介するとともに、GHz-DAC音速測定法を用いたフェロペリクレースの音速測定の現状を報告する。