一般社団法人日本鉱物科学会2023年年会・総会

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R3:高圧科学・地球深部

2023年9月16日(土) 12:00 〜 14:00 83G,H,J (杉本キャンパス)

12:00 〜 14:00

[R3P-08] DAC試料長のリアルタイム測定:ダイヤモンドアンビル背面間距離測定具の開発とダイヤモンドアンビル弾性変形解析

*米田 明1、加藤 拓人1 (1. 大阪大・理)

キーワード:DAC、弾性変形、測定器具、GHz音速法

DAC試料の音速や熱伝導率測定において試料長(試料厚み)は測定結果の解析において不可欠のパラメーターである。従来は加圧回収後の試料の厚さをもとに弾性変形補償を行って見積もられてきたが、この方法では実験結果をリアルタイムに評価できないという欠点があった。
我々は大阪大学においてGHz-DAC音速法の開発を行ってきている。音波のトラベルタイムをGHz法で測定するが、音速に変換するためには試料長のデータが必須である。加圧測定中の試料長をリアルタイム測定するために、以下の二項目の開発を行った。
(1)ダイヤモンドアンビル背面間距離測定具
ダイヤモンドアンビル背面間距離は~4mm程度である。これがDACセル(直径~40mm厚さ~30mm)内部に所在するため、通常のマイクロメーターやダイヤルゲージでの測定が困難であった。通常のマイクロメーターではフレームの懐が小さく触針が測定部に届かなかった。ダイヤルゲージでは可動域が小さくDACセルを触針下部に配置することが困難であった。
これらの問題を可動長39mmのXステージの導入で解決した。写真で示すようにDAC支持台とダイヤルゲージ触針が触れている状態からダイヤルゲージを持ち上げ、DACを支持台に置いた後、ダイヤルゲージを下げればダイヤモンドアンビル背面間距離が測定できる。試行的測定では誤差2μm程度の結果が得られた。精度・再現性・操作性を上げるためにいくつかの改良を行った。詳細は学会で発表する。
(2)ダイヤモンドアンビル弾性変形解析
ダイヤモンドアンビル先端部に印可する圧力分布をもとにダイヤモンドアンビルの弾性変形を有限要素法で解析した。弾性変形量は圧力だけでなく荷重も重要なパラメーターである。ネジで力を加えるタイプDACセルでは、荷重はサラバネの縮み量から求まる。圧力と荷重からダイヤモンドアンビルの弾性変形量を推定できる。(1)で実測したダイヤモンドアンビル背面間距離から弾性変形量を考慮したアンビル長を差し引くことにより、試料長拘束が可能となる。
R3P-08