12:00 PM - 2:00 PM
[R3P-09] Density measurement of Ni under high pressure and high temperature using laser-heated DAC combined with X-ray absorption method
Keywords:Density, Core, X-ray absorption method, High pressure
1. 目的
これまでの惑星探査による測地観測や磁場観測、最近では地震波観測から、水星から火星に至る地球型惑星はFe-Ni合金から成る液体コアを持つとされている(e.g., Margot, 2007, Stahler et al. 2021)。これら惑星コアのサイズや化学組成を明らかにするには、探査・測地データと共にコア条件におけるFe-Ni合金液体の状態方程式が必要となる。我々はこれまでに外熱式ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用い、低融点金属(In, Ga)の固体・液体の密度を10 GPa, 720 Kまで測定してきた(Takubo et al. 2019, Tsuruoka et al. 2021)。そこで本研究では、温度条件を大幅に拡張しコア条件でのFe-Ni合金液体の状態方程式を明らかにすることを目指して、レーザー加熱式DACを用いた高温高圧下での密度測定法を開発し、コアの1端成分であるNiの密度測定を行った。具体的な手法としては、レーザー加熱式DACと高圧下の非晶質物質の密度測定として有効なX線吸収法を組み合わせ実施した。本研究では、X線吸収法によるNi固体の密度測定に加えて、X線回折法から求めた試料密度と比較を行い、X線吸収法により得られた密度の精度評価も行った。
2. 方法
実験は、SPring-8のBL10XUビームラインにて30 keVの単色X線を用い実施した。X線吸収法では、試料のX線透過率(I/I0)は、入射X線強度(I0)と透過X線強度(I)の比から求められる。入射・透過X線強度はDACの上・下流に設置したイオンチャンバーを用いてそれぞれ測定した。得られたX線透過率と試料厚み情報からランベルト・ベールの式を用いて試料密度を導出した。試料厚みは、同じ試料室にある参照試料の密度とI/I0から求めた。圧力発生装置には、先端アンビルサイズ600~300 mmのDACを使用した。加熱はファイバーレーザーによる両面加熱を行い、X線光路とレーザーミラーとの干渉を避けるため、斜入射加熱を実施した。試料はNi箔、参照試料にはKBrを用い、これらをAl2O3単結晶円板の断熱材兼圧媒体で挟んだ。実験圧力は参照試料の格子体積から見積もった。
3. 結果・考察
Ni固体の密度は、10.5-20.8 GPa , 1400-1980 Kの圧力・温度条件で測定した。測定では、1つの圧力条件につき2~3点の温度条件で測定した。Ni固体は本実験範囲ではすべてfcc構造であった。得られたX線吸収法によるNi固体の密度は、X線回折密度と0.4–3.5 %の差の範囲で一致した。特にNi試料と参照試料を同じ試料室に入れたセルでは、回折密度と0.4–1.2 %の範囲でよく一致した。またX線吸収法により得られたNi密度は、これまでに報告されている高温のNiの圧縮曲線(Campbell et al. 2009)とも整合的であった。以上より、レーザー加熱式DACとX線吸収法を組み合わせた本測定法により、Ni固体の密度を精度良く求めることができ、これまでに報告されている外熱式DACを用いた密度測定条件(~10 GPa, ~720 K)と比べ、特に測定温度条件を大きく拡張することが出来た。
これまでの惑星探査による測地観測や磁場観測、最近では地震波観測から、水星から火星に至る地球型惑星はFe-Ni合金から成る液体コアを持つとされている(e.g., Margot, 2007, Stahler et al. 2021)。これら惑星コアのサイズや化学組成を明らかにするには、探査・測地データと共にコア条件におけるFe-Ni合金液体の状態方程式が必要となる。我々はこれまでに外熱式ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用い、低融点金属(In, Ga)の固体・液体の密度を10 GPa, 720 Kまで測定してきた(Takubo et al. 2019, Tsuruoka et al. 2021)。そこで本研究では、温度条件を大幅に拡張しコア条件でのFe-Ni合金液体の状態方程式を明らかにすることを目指して、レーザー加熱式DACを用いた高温高圧下での密度測定法を開発し、コアの1端成分であるNiの密度測定を行った。具体的な手法としては、レーザー加熱式DACと高圧下の非晶質物質の密度測定として有効なX線吸収法を組み合わせ実施した。本研究では、X線吸収法によるNi固体の密度測定に加えて、X線回折法から求めた試料密度と比較を行い、X線吸収法により得られた密度の精度評価も行った。
2. 方法
実験は、SPring-8のBL10XUビームラインにて30 keVの単色X線を用い実施した。X線吸収法では、試料のX線透過率(I/I0)は、入射X線強度(I0)と透過X線強度(I)の比から求められる。入射・透過X線強度はDACの上・下流に設置したイオンチャンバーを用いてそれぞれ測定した。得られたX線透過率と試料厚み情報からランベルト・ベールの式を用いて試料密度を導出した。試料厚みは、同じ試料室にある参照試料の密度とI/I0から求めた。圧力発生装置には、先端アンビルサイズ600~300 mmのDACを使用した。加熱はファイバーレーザーによる両面加熱を行い、X線光路とレーザーミラーとの干渉を避けるため、斜入射加熱を実施した。試料はNi箔、参照試料にはKBrを用い、これらをAl2O3単結晶円板の断熱材兼圧媒体で挟んだ。実験圧力は参照試料の格子体積から見積もった。
3. 結果・考察
Ni固体の密度は、10.5-20.8 GPa , 1400-1980 Kの圧力・温度条件で測定した。測定では、1つの圧力条件につき2~3点の温度条件で測定した。Ni固体は本実験範囲ではすべてfcc構造であった。得られたX線吸収法によるNi固体の密度は、X線回折密度と0.4–3.5 %の差の範囲で一致した。特にNi試料と参照試料を同じ試料室に入れたセルでは、回折密度と0.4–1.2 %の範囲でよく一致した。またX線吸収法により得られたNi密度は、これまでに報告されている高温のNiの圧縮曲線(Campbell et al. 2009)とも整合的であった。以上より、レーザー加熱式DACとX線吸収法を組み合わせた本測定法により、Ni固体の密度を精度良く求めることができ、これまでに報告されている外熱式DACを用いた密度測定条件(~10 GPa, ~720 K)と比べ、特に測定温度条件を大きく拡張することが出来た。