一般社団法人日本鉱物科学会2023年年会・総会

講演情報

口頭講演

R7:岩石・鉱物・鉱床 (資源地質学会 との共催 セッション)

2023年9月14日(木) 14:45 〜 16:30 822 (杉本キャンパス)

座長:秋澤 紀克(東京大学大気海洋研究所)、越後 拓也(秋田大学)

16:15 〜 16:30

[R7-07] フォトンカウンティングCTの岩石・結晶試料への応用:原子量が大きい元素を含む物質に着目して

石黒 歩1、有元 誠1,3,4、佐藤 大地1、供田 崇弘1、寺澤 慎祐5、塩田 諭5、*森下 知晃3,2 (1. 金沢大学・院自然、2. 海洋研究開発機構、3. 金沢大学・理工、4. 早稲田大学・理工、5. (株)プロテリアル)

キーワード:フォトンカウンティングCT

フォトンカウンティング・コンピュータ断層撮影(Photon Counting Computed Tomography: 以下PC-CTと呼ぶ)は従来のCTで使用されている検出器(エネルギー積分型X線検出器)とは異なるタイプの検出器(エネルギー分解型X線検出器)を使用したCTである.この検出器を使うことによって検出器に入射する光子をエネルギーごとにカウントすることができる(Willemink et.al., 2018).これにより、X線の吸収の程度を表す線減弱係数のエネルギー依存性から,適切なエネルギー領域を選択することによるアーチファクトの軽減,画像コントラストの向上に加え,撮影対象の物質を同定し,その密度や濃度の分布を推定することなどが期待される. Kiji et al. (2020)では,ヨウ素とガドリニウムの混合造影剤に対して,PC-CT観察に基づき,その混合比を見積もることに成功し,CT画像の各画素を構成する物質の量比を可視化できることを示した。   本研究チームでは,金沢大学で開発が進められているPC-CTを用いて,岩石・結晶試料の観察を行なっている.本発表では, X線CT撮影に用いる連続X線のエネルギー範囲内にK吸収端をもつ元素を含む物質に着目し,以下のような物質をPC-CTで観察を行った結果を報告する.使用した試料は,(1)プラチナ粉末と石英粉末を混合した試料, (2)石英粉末内に直径0.1 mmのプラチナワイヤーを埋めたもの, (3)タングステン粉末と石英粉末を混合したものの3種類を円柱容器に詰めたものを用意し,それらをCT撮影した。結果は,プラチナ,タングステンがそれぞれ固有にもつK吸収端を反映したデータを取得できたと考えている.この手法により,岩石中に含まれる重金属を含む結晶などについて,非破壊でその存在の有無を確認できることが期待される. 参考文献:Kiji et al. (2020) DOI: 10.1016/j.nima.2020.164610; Willemink et al. (2018) DOI: 10.1148/radiol.2018172656