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[R7-07] フォトンカウンティングCTの岩石・結晶試料への応用:原子量が大きい元素を含む物質に着目して
キーワード:フォトンカウンティングCT
フォトンカウンティング・コンピュータ断層撮影(Photon Counting Computed Tomography: 以下PC-CTと呼ぶ)は従来のCTで使用されている検出器(エネルギー積分型X線検出器)とは異なるタイプの検出器(エネルギー分解型X線検出器)を使用したCTである.この検出器を使うことによって検出器に入射する光子をエネルギーごとにカウントすることができる(Willemink et.al., 2018).これにより、X線の吸収の程度を表す線減弱係数のエネルギー依存性から,適切なエネルギー領域を選択することによるアーチファクトの軽減,画像コントラストの向上に加え,撮影対象の物質を同定し,その密度や濃度の分布を推定することなどが期待される. Kiji et al. (2020)では,ヨウ素とガドリニウムの混合造影剤に対して,PC-CT観察に基づき,その混合比を見積もることに成功し,CT画像の各画素を構成する物質の量比を可視化できることを示した。 本研究チームでは,金沢大学で開発が進められているPC-CTを用いて,岩石・結晶試料の観察を行なっている.本発表では, X線CT撮影に用いる連続X線のエネルギー範囲内にK吸収端をもつ元素を含む物質に着目し,以下のような物質をPC-CTで観察を行った結果を報告する.使用した試料は,(1)プラチナ粉末と石英粉末を混合した試料, (2)石英粉末内に直径0.1 mmのプラチナワイヤーを埋めたもの, (3)タングステン粉末と石英粉末を混合したものの3種類を円柱容器に詰めたものを用意し,それらをCT撮影した。結果は,プラチナ,タングステンがそれぞれ固有にもつK吸収端を反映したデータを取得できたと考えている.この手法により,岩石中に含まれる重金属を含む結晶などについて,非破壊でその存在の有無を確認できることが期待される. 参考文献:Kiji et al. (2020) DOI: 10.1016/j.nima.2020.164610; Willemink et al. (2018) DOI: 10.1148/radiol.2018172656