2023 Annual Meeting of Japan Association of Mineralogical Sciences (JAMS)

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Poster presentation

S2: Water Rock Interaction (Special Session)

Fri. Sep 15, 2023 12:00 PM - 2:00 PM 83G,H,J (Sugimoto Campus)

12:00 PM - 2:00 PM

[S2P-01] Crack and alteration changes in oceanic crust inferred from joint model of elastic-wave velocity and electrical resistivity

*Ikuo KATAYAMA1, Kazumasa Tanimoto1, Yuya Akamatsu2 (1. Hiroshima University, 2. Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)

Keywords:Seismic velocity, Electrical resistivity, Oceanic crust

地震波速度や電気比抵抗は岩石中のクラックの存在に敏感なのに加え,岩石の水質変成にも影響を受ける。我々のグループでは,実験室で地震波速度と電気比抵抗の同時測定を実施し,それらのジョイントモデルを弾性有効媒質理論とパーコレーション理論を組み合わせることで提案している(Akamatsu et al. 2023 JGR)。本研究では,オマーンオフィオライトの苦鉄質岩の弾性波速度と電気比抵抗の同時測定を静水圧下で200MPa(地殻深部圧力に相当)まで行い,本モデルの妥当性を検証したのでその結果を報告する。また,弾性波速度と比抵抗のジョイントモデルをHole 504Bの掘削データに適応し,海洋地殻内でのクラックの変化に加え水質変成の影響についても考察した。コスタリカ海嶺近傍で実施されたHole 504Bでは海底下1.8kmまで掘削され,深さとともに地震波速度が連続的に増加し,約1.2kmでその増加率が低下しほぼ横ばいとなる。地殻内の1.2km以浅の地震波速度が急激に増加する領域はLayer2に相当し,1.2km以深の速度変化が緩やかになった領域がLayer3に相当すると考えられている。一方,電気比抵抗はLayer2に位置する深さ0.6kmあたりから急激に増加し,1.2km以深ではほぼ一定となる。このような地震波速度と電気比抵抗の深さ変化の違いは,クラックの分布だけでは説明がつかない。地震波速度はクラックの密度や変質の程度に敏感であるのに対し,電気比抵抗はクラックの連結性に敏感な特徴を持つ。ジョイントモデルを適応すると,クラック密度は深さとともに連続的に低下するのに対し,クラックの連結性は深さ0.6kmあたりで急激に低下することが示唆される。また,地震波速度は岩石の水質変成にも影響を受けることを考慮し,モデルインバージョンからクラック密度と連結性に加え水質変成の程度を推定すると,浅部では著しく水質変成を被っているのに対し,深さ0.8kmあたりから変質の程度は急激に下がることが推察される。これはクラックの連結度が低下することで流体移動のフラックスが限定的になることと関係していると考えられる。