2024 Annual Meeting of Japan Association of Mineralogical Sciences (JAMS)

Presentation information

Poster presentation

R1: Characterization and description of minerals (Joint Session with The Gemmological Society of Japan)

Thu. Sep 12, 2024 12:30 PM - 2:00 PM Entrance Hall (Higashiyama Campus)

12:30 PM - 2:00 PM

[R1-P-15] Chemical composition of tourmaline and amphibole associated with gabbro from Kajishima, Ehime Prefecture, Japan

「発表賞エントリー」

*Itsuki Ota1, Kazuya Shimooka2, satoshi saitou1, youhei shirose1 (1. Ehime Univ. Sci and Eng, 2. Kwansei Gakuin Univ. Sci)

Keywords:kajishima, gabbro, pegmatite, tourmaline, amphibole

1.はじめに 愛媛県梶島は愛媛県新居浜市の北約20 kmの瀬戸内海に位置しており、島全体が斑れい岩類からなる。梶島の斑れい岩類は5岩相に区分され、花崗岩類が斑れい岩類の岩相境界または岩体内部幅0.3-3mの岩脈状に産出する(堀内, 1985;下岡他, 2024)。また、梶島の斑れい岩類中には幅1m以下の岩脈として粗粒なペグマタイトが産し、斑れい岩類と珪長質岩脈の境界部に黒色の電気石が産する(吉村, 1940)。本発表では梶島の斑れい岩類に伴う電気石と角閃石について、その産状と鉱物学的特徴を報告する。
2.産状 ペグマタイトは斑れい岩類中に脈状または塊状に産する。脈状のものは周囲の斑れい岩類との境界が明瞭であり、脈中に粗粒な角閃石、長石を含む。塊状のものは周囲の斑れい岩類との境界が不明瞭であり、0.5-1cm程度の角閃石の柱状結晶を含む。電気石は斑れい岩類中、花崗岩脈中、石英脈中に脈状・塊状に産する。斑れい岩類中に脈状に産する電気石は斑れい岩類の構造に調和的なもの、非調和なものがあり、境界部では角閃石に富む部分、石英や長石に富む部分がある。
3.実験手法 組織観察及び化学分析にはEDSを装着したJEOL製走査型電子顕微鏡JSM-6510LV、リガク製粉末X線回折装置UltimaⅣを使用した。
4.結果・考察 ペグマタイト脈に接する斑れい岩類は主に苦土かんらん石と灰長石からなり、少量のパーガス閃石、鉄スピネル、頑火輝石、チタン鉄鉱、磁鉄鉱を含む。苦土かんらん石と灰長石の粒界にはパーガス閃石が存在し、灰長石から伸長する蛆虫状の鉄スピネル、苦土かんらん石周縁部に伴う頑火輝石からなるシンプレクタイト組織が認められる。シンプレクタイト組織中のパーガス閃石には褐色と薄緑色のものが見られる。ペグマタイト脈は主にパーガス閃石と灰長石からなり、褐色のパーガス閃石はラメラ状及び塊状のチタン鉄鉱のインクルージョンを特徴的に含む。また、褐色のパーガス閃石を切るような青緑色の角閃石も見られる。境界部では滑石と緑泥石が含まれ、滑石は苦土かんらん石を置換するかたちで産する。
島南部に産する電気石脈と斑れい岩類の境界部には緑色の苦土普通角閃石が形成されており、少量の緑泥石、石英を含む。一方、島北西部に産する電気石脈と斑れい岩類の境界部には、緑色のアクチノ閃石が形成されており、少量のカミントン閃石、苦土普通角閃石、石英を含む。周囲に石英が形成されている部分では石英中にアクチノ閃石の針状結晶を含む産状が認められる。電気石のX席はNa、Y席はMgに富み、鉱物種はいずれも苦土電気石であった。また、電気石はコア部分からリム部分にかけてX席の空位がCa、Y席のAlがMg、Feに置換していた。
ペグマタイト及び斑れい岩類中の角閃石はパーガス閃石組成となりチェルマック置換が顕著である(Fig. 1)。イルメナイトの離溶を伴う褐色のパーガス閃石はTiを含み、最大0.37 (apfu)のTiを含む。シンプレクタイト中の薄緑色のパーガス閃石と褐色のパーガス閃石を切るように産する青緑色の角閃石はいずれもTiをほとんど含まず、青緑色の角閃石は鉄パーガス閃石-パーガス閃石-苦土普通角閃石組成となる。電気石脈に伴う緑色の角閃石はエデナイト置換、チェルマック置換が顕著であり、主に苦土普通角閃石からなるものとアクチノ閃石からなるものとがある。いずれの角閃石もTiをほとんど含まず、主にアクチノ閃石からなるものではカミントン閃石が少量含まれる。
ペグマタイト中のラメラ状のチタン鉄鉱を含む褐色のパーガス閃石は、斑れい岩類に伴って形成され、晶出時はケルスート閃石などのTiを多く含む角閃石であったと考えられる。サブソリダス下で上記のラメラやシンプレクタイト組織が形成され、熱水流体との反応で二次的な青緑色の角閃石が形成された。花崗岩の貫入に関連するホウ素に富む熱水流体により、電気石脈が形成され、周囲の斑れい岩類との反応により苦土普通角閃石、アクチノ閃石が形成された。
R1-P-15