一般社団法人日本鉱物科学会2024年年会・総会

講演情報

口頭講演

S3:マントル・地殻のレオロジーと物質移動(スペシャルセッション)

2024年9月12日(木) 15:30 〜 18:00 ES025 (東山キャンパス)

座長:片山 郁夫(広島大学)、道林 克禎(名古屋大学)

16:40 〜 16:55

[S3-05] 共連続構造をもつ岩石のクリープと粒成長の関係

「発表賞エントリー」

*姜 勝皓1、平賀 岳彦1 (1. 東京大学)

キーワード:カンラン石、透輝石

拡散クリープは地球内部の重要な変形メカニズムである。拡散クリープのひずみ速度は粒径に非常に敏感であるため、粒径の変化は地球のレオロジー特性に大きな影響を与える。一般に、結晶粒子は自発的に成長する。したがって、地球内部物質の流れを理解するためには、クリープは粒成長と合わせて考える必要がある。
Okamoto and Hiraga (2022) は、第二相が孤立している二相系では第二相のオストワルド熟成がクリープと同じ拡散メカニズムで進行することを実験的に示した。しかし、系は第一相がほとんどを占めるため、拡散が粒界拡散である場合、同相界面が重要な役割を果たす。異相界面がクリープと粒成長に及ぼす影響については、まだ研究されていない。
本研究では、異相界面の影響の多い共連続構造(両相とも繋がっている)を持つForsterite+50 vol%Diopside(FoDi50)およびForsterite+50 vol%Periclase(FoPer50)を用い、クリープと粒成長実験を行った。FoDi50とFoPer50は、それぞれ二相系の強度および結晶粒成長とクリープの関係を調べるために用いられた。実験結果をクリープ速度、粒成長速度、活性化エネルギーの観点から比較した。
実験の結果、FoDi50は約 800kJ/mol の高い活性化エネルギーを持つ拡散クリープによって変形することがわかった。強度はForsteriteに富む試料の強度と一致した。このことは、共連続構造を持つ固体二相系の強度が、強い相によって決定されることを示唆している。粒成長実験でも、Forsteriteに富む試料と似たような特性を示したが、クリープより低い活性化エネルギー約620 kJ/mol を持つことがわかった。

参考文献:
Okamoto Okamoto, A., & Hiraga, T. (2022). A common diffusional mechanism for creep and grain growth in polymineralic rocks: Experiments. Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 127, e2022JB024638.