ごあいさつ
ここ数年、本学会の学術集会は、2016年と2017年の横浜、2018年の神戸と、まるで港町しばりかよっ、と言わんばかりに日本有数の港町で開催されてきました。第23回学術集会も、そのしきたりを踏襲すべく会場を探していたところ、2019年に開港150周年を迎える新潟市が浮上しました。そう、横浜、神戸同様、日米修好通商条約によって開港した、いわゆる開港五港の中のひとつです。開港150周年という節目の年を迎えて大いに盛り上がっている新潟で本学術集会を開催できることは望外の悦びです。
会場は、新潟駅の真北、信濃川の河口のど真ん中に位置する朱鷺メッセです。新潟市での開催、さらには、日本海に面した都市での開催は、日本看護管理学会史上初となります。会期は2019年 8 月23日(金)~24日(土)の 2 日間、会期前日の8月22日(木)には学会主催、恒例のトワイライトセミナーも開催されます。今からこの日程を空けておいていただけますよう、深くお願い申し上げる次第です。
さて、気になる大会テーマは「看護管理者の流儀—最適解への道程—」です。この、大会テーマの「流儀」には、伝統芸能等における流派のような大きな意味もありますが、ここではもう少し個人的な(自分流的な)意味も持たせています。個人や組織のもつ「流儀」は、往々にして経験則、ヒューリスティクス、暗黙知等の具現であって、いわば、私的に構築した理論と言っても過言ではありません。しかも、その私的理論は、「経験上正しい」「これまでやっていて問題なかった」という私的事実に裏打ちされているがゆえに、エビデンスとして昇華させる機会が訪れにくかったのではないかという気もします。しかしながら一方で、それらの私的理論が、それまでいくらあてはまりがよかったとしても、かかる事実が必ずしも最善を意味しないことを踏まえれば、当該理論の検証過程は必然とも言えます。

本学術集会では、看護管理学における新たな理論確立の原資としての「流儀」を共有し、国産の看護管理理論の構築から理論検証に至る道筋について認識を深められるとともに、いわば海外の看護理論植民地と化しているわが国の学問としての看護に一石を投じることができればよいなあ、と考えています。
新潟は、最長河川の信濃川をはじめとして、水産練製品の出荷額、水稲収穫量、米菓の出荷額、清酒製造免許場数、えだまめ作付面積が全国1位。豊かな自然の恵みでアフターも癒されることまちがいなしです。ぜひ、この機会に新潟を訪れていただきまして、頭も心もお腹も満たして下さいませ。
第23回日本看護管理学会
学術集会長 前田樹海