16:00 〜 16:27
[MS3-01] ヒトiPS細胞由来軟骨を用いた限局した関節軟骨治療法の開発
キーワード:軟骨、iPS細胞、再生医療
関節軟骨は骨端を覆い、円滑な関節運動を担う組織である。関節軟骨は自己修復能に乏しく、損傷を受けると変形性関節症(OA)に至ることも多い。そのため、有用な軟骨再生治療法の開発が望まれている。そこでわれわれはヒトiPS細胞に注目し、ヒトiPS細胞由来軟骨を用いた限局した関節軟骨損傷に対する新規治療法の開発を目指している。
iPS細胞は未分化状態での自己複製能と多能性を有するため、軟骨組織を無限に供給できる細胞である。これまでわれわれは、様々な培養条件を探索し、ヒトiPS細胞から軟骨細胞そして組織への分化誘導法を開発してきた。そして動物移植を行いその有効性と安全性を確認した。しかし、この研究成果は研究室レベルの結果であった。ヒトiPS細胞由来軟骨の臨床応用を実現するには、臨床で使用可能な試薬を用い、大量に安定供給する必要がある。そこでこの2つの問題点について検討を行った。
臨床応用を行うにあたり一番の問題点は未分化iPS細胞を支持する基剤として用いたMatrigelの使用であった。このMatrigelはマウスSwarm腫瘍由来であり臨床で用いることができず、その代替としてlaminin fragmentが用いられている。しかしこのlaminin fragmentはMatrigelに比べ軟骨細胞への分化効率が低下する。その要因の一つとして基剤による細胞形態の違いと考え、それを制御する要因としてHippo-YAPシグナル伝達経路に注目した。
本研究において、YAPを抑制することにより軟骨細胞への分化効率が改善することを明らかにした。その方法として3次元回転培養装置を用いた。この装置の使用は、高品質のヒトiPS細胞由来軟骨を大量に安定供給することも可能とした。
本シンポジウムにおいて、われわれの臨床応用に向けた取り組みについて紹介したい。
iPS細胞は未分化状態での自己複製能と多能性を有するため、軟骨組織を無限に供給できる細胞である。これまでわれわれは、様々な培養条件を探索し、ヒトiPS細胞から軟骨細胞そして組織への分化誘導法を開発してきた。そして動物移植を行いその有効性と安全性を確認した。しかし、この研究成果は研究室レベルの結果であった。ヒトiPS細胞由来軟骨の臨床応用を実現するには、臨床で使用可能な試薬を用い、大量に安定供給する必要がある。そこでこの2つの問題点について検討を行った。
臨床応用を行うにあたり一番の問題点は未分化iPS細胞を支持する基剤として用いたMatrigelの使用であった。このMatrigelはマウスSwarm腫瘍由来であり臨床で用いることができず、その代替としてlaminin fragmentが用いられている。しかしこのlaminin fragmentはMatrigelに比べ軟骨細胞への分化効率が低下する。その要因の一つとして基剤による細胞形態の違いと考え、それを制御する要因としてHippo-YAPシグナル伝達経路に注目した。
本研究において、YAPを抑制することにより軟骨細胞への分化効率が改善することを明らかにした。その方法として3次元回転培養装置を用いた。この装置の使用は、高品質のヒトiPS細胞由来軟骨を大量に安定供給することも可能とした。
本シンポジウムにおいて、われわれの臨床応用に向けた取り組みについて紹介したい。