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[MS3-03] 遺伝性疾患の解析から明らかとなった骨誘導因子受容体ALK2の新しい活性制御機構
キーワード:骨誘導因子、受容体、遺伝性疾患
膜貫通型キナーゼ受容体のALK2は、成長因子TGF-βファミリーをリガンドする受容体の1つで、特に異所性骨化を誘導する骨誘導因子(Bone Morphogenetic Protein; BMP)等の骨形成シグナルを細胞内に伝達する。ALK2の細胞内領域における遺伝的アミノ酸変異により、「筋肉が骨になる」と表現される難病の進行性骨化性線維異形成症(FOP)が発症することが明らかとされた。このとき、TGF-βファミリーのリガンドとして、異所性骨誘導活性を持たないActivin Aが重要なことも報告されている。さらに、FOP以外にも小児の脳腫瘍や靭帯・腱の骨化症例において、ALK2の遺伝的機能獲得型変異が報告されたが、依然としてALK2の病的シグナルの活性化機序は不明であった。我々は、ALK2の細胞内シグナルを阻害するモノクローナル抗体を独自に開発した。その作用機序解析から、ALK2の細胞内領域二量体形成を介したシグナル活性化機構を見出し、遺伝的変異による関連疾患の発症機序を明らかにした(Katagiri et al., Nat Commun, 2023)。本シンポジウムでは、我々がヒトの遺伝性疾患の解析から提唱するTGF-βファミリー受容体の新しい活性制御モデルを紹介したい。