The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Oral

Oral

Sun. Sep 17, 2023 2:20 PM - 3:10 PM E会場 (441講義室(4号館))

座長:岡田 裕之(日大松戸歯 組織)

3:00 PM - 3:10 PM

[O2-E-PM1-05] Differentiation control of dental pulp cells by glucose metabolism

〇Hiroko Ida-Yonemochi1, Hayato Ohshima1 (1. Div Anat Cell Biol Hard Tissue, Niigata Univ Grad Sch Med Dent Sci)

Keywords:歯髄、糖代謝、細胞分化

【目的】 糖代謝は細胞動態を制御する重要なエネルギー代謝経路であり、歯胚発育過程ではエナメル上皮細胞の分化制御に糖代謝調節が重要であることを明らかにしてきた。本研究では歯髄細胞分化における糖代謝調節機構の解明を目的に、マウス歯髄組織での糖代謝経路を検索するとともに、マウス歯胚および歯髄細胞を用いたin vitro実験系にて解析した。【方法】各発育段階のマウス上顎切歯・臼歯について、糖代謝関連分子の局在を免疫組織学的に検索した。さらに、生後2日齢マウス切歯および臼歯歯胚を摘出し、各種糖代謝阻害剤の存在下にて器官培養を行い、形態学的変化を解析した。また、歯髄由来初代培養細胞を用いて、糖代謝調節による細胞分化への影響について、各種細胞分化マーカーの遺伝子発現解析を行なった。【結果と考察】生後歯髄組織では、象牙芽細胞はグルコース輸送体 (GLUT2)およびクエン酸合成酵素を持続的に発現しており、TCA回路により象牙質形成に必要なエネルギー産生を維持していることが示された。そこでIn vitro 培養系にてTCA回路阻害剤 (UK5099)を作用させたところ、器官培養歯胚の象牙芽細胞分化が阻害され、歯髄培養細胞では細胞増殖活性が減少し、Nestin遺伝子発現が有意に低下した。一方、解糖系阻害剤 (BrPA)存在下では、切歯および臼歯の歯髄領域が拡大し、歯髄細胞の分布密度が均一化した。歯髄組織内では象牙芽細胞のNestin免疫陽性反応の消失、Ki67陽性細胞の増加と、Tunel陽性のアポトーシス細胞の減少が確認された。歯髄培養細胞ではBrPA処理により細胞増殖活性が上昇し、歯髄幹細胞マーカーのNanog遺伝子発現の有意な増加がみられ、歯髄細胞の脱分化が生じている可能性が推察された。以上より、歯髄細胞分化制御に糖代謝調節が重要な役割を果たしていることが示唆された。