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[O2-E-PM2-03] アンジオテンシン変換酵素阻害薬カプトプリルの咬合異常に起因する心機能障害に対する影響
キーワード:筋組織、高次機能、シグナル伝達
【目的】咬合異常は口腔領域に様々な悪影響を及ぼすとともに全身、特に自律神経系に異常をきたす。また、レニンアンジオテンシン系(RAS)阻害剤であるカプトプリル(Cap)は、心不全治療の第1選択薬として広く臨床応用され心臓リモデリングに対して抑制効果をもつ。本研究では、歯科用レジンをマウスの下顎切歯に装着したマウスモデル(Bite-opening; BO)を用いて「Capは咬合不調和により誘発される心機能障害と心筋リモデリングを予防する」という仮説をたて、その検証を試みた。 【方法】雄性マウス(16週令、C57/BL6)を、対照群、BO群、Cap(0.1g / Lを含む飲料水)群、Cap + BO群の4群に分け、BO処置2週後、心筋を摘出し、体重、筋重量、心エコーにより心機能を調べた。組織学的解析として、Masson trichrome 染色、TUNEL染色を行い、メカニズムの解析のためウェスタンブロッティングを行った。 【結果】心エコーを用いて心機能を評価したところ、対照群と比較してBO群で有意に低下したが、(P<0.01)、Capの併用によりBOによる心機能低下は有意に抑制された。線維化ならびに心筋細胞のアポトーシスの割合は、 BO群で有意に増加し、 BO+ Cap群では、その効果が抑制された(P<0.01 each)。以上のメカニズムとしてプロテインキナーゼC(Tyr-311/Thr-505)-カルモデュリンキナーゼIIシグナルの活性化によりカルシウム制御タンパク(ホスホランバン、リアノジン2受容体)の過剰なリン酸化が誘導され、心筋細胞内カルシウムの過負荷が生じることがウェスタンブロッティングより示唆された。 【結論】RASの活性化は、BOに起因する心機能低下に重要な役割を果たしていることが示唆された。