第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P1-2-03] RAW264.7細胞においてCalcitriolがアポトーシスを誘導する

〇笠井 満知子1,3、中村 圭佑2,3、李 智媛3、長谷部 晃3 (1. 北大 院歯 矯正、2. 北大 院歯 口腔診断内科、3. 北大 院歯 口腔分子微生物)

キーワード:細胞死、calcitriol、アポトーシス

【目的】ビタミンDは体内で骨やミネラル代謝、免疫に影響を与え、さらに疫学的データによりがんの発生や進行にも関与している可能性が示唆されている。また活性型ビタミンDであるcalcitriolは悪性腫瘍において抗増殖作用を示すことが分かっているが、反対に細胞死を抑制する効果があることも報告されており、calcitriolによる影響は細胞によって様々であると考えられる。そこで本研究ではマウス白血病単球由来マクロファージ様細胞(RAW264.7 細胞)におけるcalcitriol刺激の影響および細胞死の経路を明らかにすることを目的とした。【材料、方法】RAW264.7 細胞をcalcitriolで刺激し、細胞毒性測定キット(LDH)およびAnnexin V/PI染色により細胞死の測定を行った。またcalcitriolで12時間刺激後にWestern blot法にてアポトーシスの重要な調節因子の一つであるcleaved caspase 3の発現レベルを測定した。さらにcalcitriolで24時間刺激後にELISAによるIL-1βの定量を行うことで細胞死の経路を検討した。【結果および考察】LDH測定ではcalcitriol刺激により濃度、時間依存的にLDHが増加した。さらにAnnexin V/PI染色ではcalcitriol刺激によりAnnexin VおよびPIで染色される細胞が増加した。これらのことからcalcitriolがRAW264.7細胞に細胞死を引き起こすことが明らかとなった。またcalcitriol刺激によりcleaved caspase 3が増加し、ELISAではIL-1βが検出されなかったためcalcitriolによる細胞死はアポトーシスによるものと考えられる。【結論】calcitriolはRAW264.7細胞においてアポトーシスによる細胞死を起こすことが示唆された。