第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P1-2-08] HUCPVCの石灰化誘導能をもたらすFGF-2 と TGF-β1 の相乗効果

〇矢部 正浩1、唐木田 丈夫2、山本 竜司2、大熊 理紗子2、浅田 桜子1、山越 康雄2、五味 一博2 (1. 鶴大 歯 歯周病、2. 鶴大 歯 生化学)

キーワード:ヒト臍帯血管周囲細胞、塩基性線維芽細胞増殖因子、骨髄間葉系幹細胞

ヒト臍帯血管周囲細胞(HUCPVC)は骨髄間葉系幹細胞の代替細胞として再生医療への応用が期待されている。【目的】HUCPVC の石灰化に対する線維芽細胞成長因子 2 (FGF-2) とトランスフォーミング成長因子 β 1 (TGF-β1)の相乗効果について研究を行った。【材料と方法】 活性型ビタミン D3、LDN-193189(LDN)、およびTGF-β1の存在下で、FGF-2を含むHUCPVC (FGF(+)HUCPVC)とFGF-2を含まないHUCPVC (FGF(-)HUCPVC) を作成し、細胞増殖能力、各種硬組織形成細胞遺伝子マーカーの発現、石灰化誘導能、石灰化結節の結晶相の同定を細胞生物学、形態学、遺伝学、結晶工学レベルで調べた。【結果と考察】 FGF(+)HUCPVCは、アルカリホスファターゼ(ALP)遺伝子発現およびALP活性が高く、細胞増殖速度がFGF(-)HUCPVCよりも速かった。 骨芽細胞マーカーおよび基質小胞性石灰化関連遺伝子の発現レベルは FGF(+)HUCPVC で増加し、弾性線維および筋細胞マーカーの遺伝子発現は FGF(-)HUCPVC で増加した。 FGF(-)HUCPVC は筋線維芽細胞様の特性を示し、石灰化誘導能を有さなかったが、FGF(+)HUCPVC では明らかに石灰化結節が観察された。この石灰化結節は、繊維状ヒドロキシアパタイト・ナノロッドと多結晶シートで構成される骨ヒドロキシアパタイトの形態学的特徴を示した。【結論】FGF-2がTGF-β1と相乗作用し、HUCPVCの硬組織形成細胞への分化における重要な因子であることを発見した。 HUCPVC は、将来の骨再生療法や歯科治療のための新しい幹細胞の供給源として機能する可能性がある。