[P1-2-12] ピロカルピン刺激による遺伝子発現における細胞内経路の探索
キーワード:ピロカルピン、唾液、MAPK
【目的】ムスカリン受容体アゴニストのピロカルピン(Pilo)はシェーグレン症候群などの口腔乾燥症に対する唾液分泌促進薬であり、継続的投与による唾液分泌の漸次的亢進を認めるが、その分子メカニズムは明らかになっていない。昨年度の本学術大会でラットへのピロカルピンの2回投与による唾液分泌量の増加に加えて、いくつかの遺伝子の発現変化を認めたことを報告した。同じムスカリン受容体アゴニストのベタネコール(Beth)をラットに同様に投与したところ、唾液分泌量の変化においてピロカルピンとは異なる結果が得られた。本研究ではこれらの刺激による遺伝子発現における細胞内シグナル経路を検討した。
【方法】ラットまたはマウス(9週齢)へのPiloまたはBethの腹腔内投与により分泌された全唾液量を測定した。その1週間後に、同じ動物に同濃度のPiloまたはBethを再び投与し、唾液分泌量の変化を解析した。また、ヒト唾液腺由来細胞(HSY)を無血清培地下でPiloまたはBethで刺激後、ERK1/2のリン酸化の有無をウェスタンブロットにより検討した。さらに、HSYにおいて、種々の阻害剤を用いて、Pilo、Beth刺激によるCtgf遺伝子発現量変化の定量的解析を定量PCRにより行った。
【結果と考察】動物へのPilo2回投与により、唾液分泌の増加、Beth投与で分泌量の減少が観察され、加えてこれらの刺激によりSgk1、Ctgfの遺伝子発現の増加が認められた。 HSYにおいてPiloまたはBeth刺激15分後で、共にERK1/2のリン酸化の亢進がみられた。さらに阻害剤の実験の結果、Pilo刺激によるCtgfの遺伝子発現にSrcとMAPKが関与していることが示唆された。今後はこれらの細胞内シグナルと唾液分泌の関係を明らかにし、ピロカルピンの分泌増強作用の分子メカニズムを解明する。
【方法】ラットまたはマウス(9週齢)へのPiloまたはBethの腹腔内投与により分泌された全唾液量を測定した。その1週間後に、同じ動物に同濃度のPiloまたはBethを再び投与し、唾液分泌量の変化を解析した。また、ヒト唾液腺由来細胞(HSY)を無血清培地下でPiloまたはBethで刺激後、ERK1/2のリン酸化の有無をウェスタンブロットにより検討した。さらに、HSYにおいて、種々の阻害剤を用いて、Pilo、Beth刺激によるCtgf遺伝子発現量変化の定量的解析を定量PCRにより行った。
【結果と考察】動物へのPilo2回投与により、唾液分泌の増加、Beth投与で分泌量の減少が観察され、加えてこれらの刺激によりSgk1、Ctgfの遺伝子発現の増加が認められた。 HSYにおいてPiloまたはBeth刺激15分後で、共にERK1/2のリン酸化の亢進がみられた。さらに阻害剤の実験の結果、Pilo刺激によるCtgfの遺伝子発現にSrcとMAPKが関与していることが示唆された。今後はこれらの細胞内シグナルと唾液分泌の関係を明らかにし、ピロカルピンの分泌増強作用の分子メカニズムを解明する。