[P1-2-28] 口腔カンジダ症に対するTh17細胞による病態制御機構の解明
キーワード:微生物、獲得免疫、真菌
口腔カンジダ症は口腔の常在真菌Candida albicans (C. albicans)が原因となる日和見感染症であり、高齢者や免疫不全患者などの生体防御能が著しく低下した易感染宿主において発症する。超高齢社会がより深刻になっていく我が国において、口腔カンジダ症の患者数は近年増加しており、社会的関心は高い。カンジダ感染症は有効な化学療法が望まれているが、安全で有効な抗真菌薬は極めて少なく、発症すれば根治が難しく治療難易度が高い。近年の報告により、C. albicansに対する宿主免疫応答として、サイトカインIL-17A産生を特徴とするTh17細胞が重要な役割を果たすことが明らかになってきている。しかしながら、Th17細胞への分化を誘導する抗原や免疫応答が誘導される場など、そのメカニズムはまだ不明な点が多く残されている。我々は、C. albicansに特異的なTh17 細胞による免疫応答を理解し、さらにこれを制御できれば、口腔カンジダ症に対する新しい予防法・治療法の開発が可能になるのではないかと着想した。本研究では、Th17細胞の分化誘導に重要なC. albicans由来の抗原と免疫応答が起こる場に着目し、口腔カンジダ症におけるTh17細胞による宿主免疫応答機構を解明することを目的とする。我々は、ゲノムシーケンスが明らかになっているC. albicans SC5314株を用いて、口腔カンジダ症のマウスモデルを構築している。本発表では、構築した口腔カンジダ症マウスモデルを用いて、Th17細胞を誘導するC. albicans由来の抗原の絞り込みの進捗、および生体内におけるTh17細胞応答の動態について報告する。