第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P1-2-39] セロトニン受容体HTR7による口腔扁平上皮癌の分化制御

〇岡崎 章悟1、中島 由梨佳1,2、今井 健一1 (1. 日大 歯 感染免疫、2. 日大 歯 保存Ⅲ )

キーワード:口腔扁平上皮癌、セロトニン受容体、分化

近年、がんの進展における神経伝達物質受容体の関与が明らかとなりつつあり、新規治療標的として期待されている。本研究においては、口腔扁平上皮癌における神経伝達物質受容体の機能的役割を解析するため、The Cancer Genome Atlasデータセットを用いた遺伝子発現解析を行った。その結果、セロトニン受容体HTR7は正常組織と比較し、腫瘍組織で高発現すること、さらには、HTR7の発現と予後不良が相関することを見出した。
HTR7が口腔扁平上皮癌の進展に及ぼす影響を検討するため、口腔扁平上皮癌細胞株HSC-2を用いてHTR7ノックダウン細胞株を樹立し、in vivoにおける腫瘍成長を解析した。その結果、HTR7ノックダウンはコントロールと比較して、顕著に腫瘍成長を抑制した。また、未分化マーカーCD44バリアントと分化マーカーInvolucrinの蛍光免疫染色解析を行なったところ、HTR7ノックダウン腫瘍においては未分化腫瘍細胞が減少していることを見出した。さらに、in vitro分化誘導系を用いた解析において、HTR7ノックダウンは口腔扁平上皮癌細胞の分化を促進することが明らかとなった。また、HTR7共役Gタンパク質であるG12のノックダウンにおいても同様に、in vitro解析における細胞分化の促進が認められた。以上の結果から、HTR7/G12シグナルはOSCCの未分化性の維持に寄与しており、口腔扁平上皮癌における有望な治療標的となることを明らかにした。