第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P1-2-51] マグヌス法を用いて観察されたマウス腸管平滑筋収縮に対するロテノンの抑制効果

〇早川 和宏1、佐藤 元1、佐藤 慶太郎1、安達 一典1 (1. 明海大 歯 薬理)

キーワード:マグヌス法、ロテノン、腸管平滑筋

[目的]パーキンソン病 (PD) 患者では前駆症状として便秘を高頻度に認めるが、その病態は不明である。先行研究から、農薬ロテノンを慢性投与したPDモデル動物は、その前駆症状を調べるモデル動物として有用である可能性が示唆された。本研究では、ロテノン投与動物の腸管機能を調べる前段階として、マウス腸管平滑筋に対するロテノンの直接作用を明らかにすることを目的とした。 [方法]3-4%イソフルラン吸入麻酔下で、C57BL/6J(雄性、12-16週齢)の腸管(十二指腸下部~回盲部)を摘出し、混合ガスで飽和したKrebs緩衝液に浸漬した。緩衝液中で腸管を3分割(上部/中部/下部)し、それらの中央部(2-3 cm)をマグヌス管(25 mL緩衝液)内に設置し、フォーストランスデューサに接続した。アセチルコリン(Ach:10-12-10-5 g/ml)を単一用量で管内に投与し、腸管の収縮動態を60秒間観察し、管内緩衝液を3回交換/洗浄した。Ach投与用量を逐次上昇させ、用量反応性を確認した。次に、Ach投与60秒前に管内にロテノン(10-8-10-5 M)を投与し、腸管収縮に対するその作用を観察した。 [結果と考察]Ach濃度の増大に伴い、腸管収縮力はシグモイド状に増大した(EC50Ach:1.1 ×10-9 g/ml)。Ach投与後すぐに腸管収縮力がピークに達し(3.8±1.1秒)、30秒以内に定常状態に達した(time to half value: 13±6秒)。一方、ロテノン濃度の増大に伴い、Achで誘発される腸管収縮力はシグモイド状に低下し(EC50Rot: 3.1×10-6 M)、その減衰が早まった(time to half value: 7.8±7秒)。また、一度低下した腸管収縮力は回復しなかった。今後、ロテノンの作用をex vivo/in vivo両観点から検討する予定である。