第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P1-3-21] メカニカルストレスがヒト歯肉上皮細胞の上皮増殖因子受容体 (EGFR)におよぼす影響

〇張 芮璇 1, 井上 博1, 寒川 延子1, 毛 丹1, 母 梅力1, 合田 征司1 (1. 大歯大 生理)

キーワード:メカニカルストレス、ヒト歯肉上皮細胞、上皮増殖因子受容体 (EGFR)

【目的】ブラキシズムは、歯周組織への影響だけでなく全身への影響も引き起こす。歯に加わる力は歯肉上皮にも加わる。ヒト歯肉上皮細胞に対する機械的伸展の影響についてはほとんど知られていない。本研究の目的は、ヒト歯肉上皮細胞株Ca9-22に対して機械的伸展が上皮増殖因子受容体 (EGFR)活性化におよぼす影響について明らかにすることである。【試料および方法】ヒト歯肉上皮系細胞であるCa9-22細胞( 2.25× 105個 / 2.25㎝²) をTypeⅣコラーゲンコート処理した2.25cm²のシリコンチャンバー(縦1.5cm、横1.5cm、深さ1cm)に播種。10 %FBS存在下にて培養し、伸展装置(C S-1700:ストレックス社製)を用いてシリコンチャンバーに20%の伸展率にて力学的負荷を加えた。伸展刺激時間は10分、30分、50分および70分群に分けて伸展刺激したものを実験群、伸展力を負荷せずに同一の培養器にシリコンチャンバーを静置した細胞を対照群とした。刺激終了直後にサンプルを作成し、ウエスタンブロッティングによりEGFR とFocal adhesion kinase (FAK)のリン酸化を検討した。【結果および考察】EGFRのリン酸化は対照群において活性化していることを確認した。EGFRのリン酸化に対する伸展刺激の影響は伸展刺激時間の増加と共に増強することを確認した。FAKもEGFR同様に対照群においてもリン酸化が認められ、活性化していることを確認した。FAKのリン酸化に対する伸展刺激の影響は伸展刺激時間の増加と共にわずかに増強することを確認した。【結論】ヒト歯肉上皮系細胞であるCa9-22細胞では、機械的伸展により膜タンパク質のシェディングが誘発され、様々な生理活性物質が細胞膜から遊離することでEGFR とFAKのリン酸化が活性化した可能性が示唆された。