The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Poster session

Sat. Sep 16, 2023 1:20 PM - 7:00 PM Poster Presentation (131講義室)

[P1-3-28] Analgesic mechanism of Linalool odor on Oral ulcerative mucositis pain

〇Masato Iida1, Suzuro Hitomi2, Koichi Iwata2, Masamichi Shinoda2 (1. Dept Dysphagia Rehabil, Nihon Univ Sch Dent, 2. Dept Physiol, Nihon Univ Sch Dent)

Keywords:口内炎、Linalool、嗅覚

近年Linalool香気による鎮痛作用が報告されているが、口腔顔面領域の疼痛に対しての効果や機序は不明である。本研究では、口内炎誘導性疼痛に対するLinalool香気の鎮痛機構の一端を解明することを目的とした。 麻酔下にて、50%酢酸を浸したろ紙を雄性Wistarラットの下顎口腔前庭部に30秒間貼付し、口内炎を作製した。ラットをアクリル製ボックス内で1% Linalool (0.53 ppm)に5分間曝露させた。Linalool曝露30分後に自発ラビング時間、口内炎部へのカプサイシン (CPS) 滴下後のラビング時間およびvon Frey毛を用いた口内炎部への機械刺激に対する逃避閾値 (MHWT) を測定した。嗅球または青斑核にカニューレを留置し、それぞれ2%Lidocaineまたはオレキシン受容体拮抗薬を投与した後の自発ラビング時間を計測した。Lidocaine投与による嗅覚遮断の効果はラット忌避臭周辺への滞在時間を指標として評価した。Linaloolの運動機能への影響はRota-Rod試験にて評価した。免疫組織化学的手法を用いて、三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)ニューロンにおけるc-Fos発現を解析した。 口内炎モデルにおいて自発ラビング時間とCPS誘発ラビング時間が延長し、口内炎部のMHWTが低下したことから疼痛の発症が認められた。これらは、Linalool曝露によって運動機能に影響することなく抑制された。Lidocaine投与またはオレキシン受容体拮抗薬の投与によってLinaloolによる自発ラビング時間の短縮が抑制された。また、Vcにおけるc-Fos陽性細胞数はLinalool曝露によって減少した。以上より、Linalool香気は嗅球-青斑核のオレキシンニューロンを介してVcの侵害受容ニューロン活動を低下させることによって口内炎誘導性疼痛に対する鎮痛効果を発揮する可能性が示された。