The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Poster

Poster session

Sat. Sep 16, 2023 1:20 PM - 7:00 PM Poster Presentation (131講義室)

[P1-3-30] Involvement of hepcidin in the healing process of exacerbated stomatitis in a rat model of xerostomia

〇Naoto Taguchi1,2, Suzuro Hitomi1, Yoshinori Hayashi1, Masamichi Shinoda1 (1. Dept Physiol, Nihon Univ Sch Dent , 2. Div Oral Maxillofac Surg, Showa Univ Sch Dent)

Keywords:Hepcidin、口内炎、口腔乾燥

目的:放射線化学療法を受けるがん患者は口腔乾燥を生じ,潰瘍性口内炎を発症する.過去の研究から,口腔乾燥により口内炎の治癒が遅延することが示唆された.最近では鉄代謝を調節するhepcidinの創傷治癒への関与が報告された.本研究では,口腔乾燥によって増悪する潰瘍性口内炎の治癒過程にhepcidinが関与しているのか明らかにする.実験方法:口腔乾燥モデルラットは,両側の顎下腺と舌下腺を摘出し作製した(摘出群).摘出2週間後に,50%酢酸を用いて口内炎を惹起し口内炎重篤度を評価した.口腔内機械感受性を調べるために,下顎口腔前庭部にvon Frey filamentsを用いて機械刺激を加え,逃避反射閾値を測定した.また,ラット唾液中のhepcidinの有無を確認する為,ピロカルピン投与後に採取した唾液をELISAキットにてhepcidin量を測定した.また口内炎惹起前後の下顎口腔前庭粘膜におけるhepcidinを免疫組織化学染色にて解析した.さらに口内炎惹起後のラット口腔前庭粘膜に毎日ラットhepcidinリコンビナントを塗布し,口内炎重篤度を評価した.
結果:摘出群に惹起した口内炎はコントロール群と比較して,酢酸処理2,5,7日目で有意に重篤度が高かった.下顎口腔前庭部の機械逃避閾値は唾液腺摘出によって変化しなかったが,口内炎部の機械逃避閾値は酢酸処理2日目においてSham群と摘出群ともに低下した.摘出群では5日目にも,閾値の低下傾向が認められ,機械アロディニアが継続していた.またhepcidinは唾液中に存在し,口内炎惹起によって口腔前庭粘膜部におけるhepcidinが増加していた.摘出群の口内炎部へのhepcidin塗布によって口内炎の治癒が促進した.
考察:唾液腺摘出後の口内炎治癒遅延には,唾液中に含まれるhepcidinの消失が関与した可能性が示唆された.