The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Poster

Poster session

Sat. Sep 16, 2023 1:20 PM - 7:00 PM Poster Presentation (131講義室)

[P1-3-31] Involvement of oxidative stress in neonatal stress-induced mechanical pain hypersensitivity

〇Chihiro Soma1, Suzuro Hitomi2, Koichi Iwata2, Masamichi Shinoda2 (1. Dept Pediatric Dent, Nihon Univ Sch Dent, 2. Dept Physiol, Nihon Univ Sch Dent)

Keywords:幼少期ストレス、母子分離、酸化ストレス

幼少期に育児放棄を受けた経験をもつ慢性疼痛患者は多い。幼少期ストレス負荷モデル動物において成熟後に痛覚感受性が増強することが知られているが、その詳細は不明である。最近、幼少期ストレス負荷により活性酸素種 (ROS) が長期的に増加することが報告された。そこで本研究では、幼少期ストレス負荷後の成熟期において顔面領域に生じる異常疼痛に対し、酸化ストレスがどのように関与しているのかを明らかにすることとした。新生仔ラットを生後2から14日目まで母ラットと毎日3時間分離した母子分離(MS)群と非分離(non-MS)群を作製した。生後49日目に覚醒下にて両群の口ひげ部と後肢足底部の機械逃避閾値を測定した。また、DNA酸化損傷マーカーである8-OHdGの発現を免疫組織化学的に解析し、血中の抗酸化力を測定した。次にROS消去薬、ROS感受性疼痛関連チャネルであるTRPA1の拮抗薬を口ひげ部皮下に投与し、機械逃避閾値を測定した。さらに、生後14、28日目に、血中コルチコステロン(CORT)量を測定した。MS群に対してCORT受容体拮抗薬を生後2から14日目まで毎日皮下投与し、機械逃避閾値と抗酸化力を測定した。MS群ではnon-MS群と比較して、口ひげ部と後肢足底部の機械逃避閾値および血中抗酸化力が有意に低下し、口ひげ部皮膚における8-OHdGの発現が増強していた。ROS消去薬またはTRPA1拮抗薬の投与により、機械逃避閾値の低下が有意に抑制された。また、血中CORT濃度はMS期間中に上昇した。MS期間中のCORT受容体拮抗薬投与により、抗酸化力の上昇傾向を示し機械逃避閾値の低下が抑制された。以上より、MSによる幼少期のCORT濃度増加によって成熟期に抗酸化力が低下すると、末梢組織で過剰なROSが蓄積し、ROS感受性TRPA1を活性化することで機械アロディニアを生じることが示唆された。