[P2-2-09] 糖化最終産物(AGEs)修飾されたコラーゲンに対するAGEs阻害薬アラゲブリウムの作用機序の解析。
キーワード:歯牙、コラーゲン、糖化
還元糖は生理学的条件下、非酵素的にタンパク質に結合し、不可逆的に糖化最終産物(AGEs)を生成する。AGEsの中でもペントシジン、クロスリンなどは分子間に架橋構造を作り、タンパク質の機能を大きく損なってしまうことが知られている。特にコラーゲンや細胞組織にAGEsによる架橋が形成されると動脈硬化や骨粗鬆症、アルツハイマー型認知症などの疾病や老化に関わっていると考えられている。歯科においても糖化による象牙質の強度低下などが報告されている。架橋型AGEsを切断、分解、あるいは形成を阻害してアンチエイジング効果をもつ薬物の候補としてアラゲブリウム見出された。in vivoではアラゲブリウム投与によって糖尿病性高血圧の改善などが報告されており、in vitroでは糖化コラーゲン分子間の架橋構造が分解されることがブロモシアン分解のパターン変化によって間接的に示唆されている。しかしアラゲブリウムが直接架橋型AGEsに作用しているという報告はなくアラゲブリウムのAGEs架橋の形成阻害、また架橋を分解する詳細なメカニズムは不明である。本研究ではアラゲブリウムの糖化コラーゲン形成時の阻害効果、糖化コラーゲンを形成した後でのAGEsの分解の効果をウェスタンブロット、HPLC分析による解析。糖尿病モデルラットにおけるアラゲブリウム投与、非投与の状態でラット尾コラーゲンや歯牙、血管などの組織におけるAGEsの量的変化を解析した。その結果、架橋型AGEsのペントシジンに対してはアラゲブリウム共存によってペントシジンの形成が阻害されること、ペントシジン形成後にアラゲブリウムを添加することでコラーゲン中のペントシジンの量が減少しアラゲブリウムが直接ペントシジンを分解していることが示唆された。ラットの生体内でのアラゲブリウムによるAGEsの変化と併せ現在、質量分析等で詳細な解析を進めている。