[P2-2-31] 口腔Actinomyces属及びSchaalia属の亜硝酸塩産生活性と活性に対する環境要因の影響
キーワード:亜硝酸塩、Actinomyces、代謝
【目的】近年、ヒト口腔マイクロバイオ―ム(OMB)構成細菌が、唾液や緑黄色野菜に含まれる硝酸塩を還元し、抗菌効果や血液循環改善効果を持つ亜硝酸塩を産生することに注目が集まっている。そこで我々はOMB中の亜硝酸塩産生菌を網羅的に分離・同定し、Actinomyces属、Schaalia属、Neisseria属、Veillonella属などが主であることを明らかにした(Sci Rep, 2020)。一方、細菌の代謝活性は、個人差が大きく日内変動しやすい口腔環境因子により影響を受けることが知られている。そこで本研究では、Actinomyces属及びSchaalia属の代表菌種を用いて、その亜硝酸塩産生活性に対する環境因子変動の影響を評価した。
【方法】Actinomyces naeslundii (An)とSchaalia odontolytica (So)の両標準株を、通法培地にて嫌気培養し、対数増殖期に集菌後、菌懸濁液を作成した。そこへ硝酸塩を加えた際の亜硝酸塩産生活性を、Griess試薬を用いて測定した。さらに環境因子(好気/嫌気、pH、グルコース濃度、乳酸塩濃度)による産生活性への影響を解析した。
【結果・考察】硝酸塩のみを加えた場合(コントロール)、亜硝酸塩産生活性はSoがAnより高かった。また、両菌種共に好気よりも嫌気環境において亜硝酸塩産生活性が高い傾向を示した。Anでは、グルコースまたは乳酸塩の添加により濃度依存的に産生活性が増加し、特に乳酸塩添加では酸性環境で活性が顕著に増加し(コントロールの約7.4倍)、Soの活性に匹敵した。一方、Soでは、グルコース添加時にわずかに活性が増加するのみであり、Anと比較してグルコースや乳酸塩の影響は小さかった。今後OMBによる亜硝酸産生活性に関する研究を行う際には、各種口腔環境因子による影響を加味して行う必要があることが示唆された。
【方法】Actinomyces naeslundii (An)とSchaalia odontolytica (So)の両標準株を、通法培地にて嫌気培養し、対数増殖期に集菌後、菌懸濁液を作成した。そこへ硝酸塩を加えた際の亜硝酸塩産生活性を、Griess試薬を用いて測定した。さらに環境因子(好気/嫌気、pH、グルコース濃度、乳酸塩濃度)による産生活性への影響を解析した。
【結果・考察】硝酸塩のみを加えた場合(コントロール)、亜硝酸塩産生活性はSoがAnより高かった。また、両菌種共に好気よりも嫌気環境において亜硝酸塩産生活性が高い傾向を示した。Anでは、グルコースまたは乳酸塩の添加により濃度依存的に産生活性が増加し、特に乳酸塩添加では酸性環境で活性が顕著に増加し(コントロールの約7.4倍)、Soの活性に匹敵した。一方、Soでは、グルコース添加時にわずかに活性が増加するのみであり、Anと比較してグルコースや乳酸塩の影響は小さかった。今後OMBによる亜硝酸産生活性に関する研究を行う際には、各種口腔環境因子による影響を加味して行う必要があることが示唆された。