[P2-2-33] Involvement of the NLRP3 inflammasome pathway in the biological activity of candidalysin
Keywords:カンジダリシン、インフラマソーム、NLRP3
カンジダリシン(CL)はカンジダ菌の菌糸から産生される疎水性のペプチド毒素であり、細胞毒性やNLRP3インフラマソーム経路とカスパーゼ-1活性化に依存的なIL-1β産生活性を有すると考えられている。我々は以前の報告で合成CLペプチドを水溶液(CLw)およびジメチルスルホキシド溶液(CLd)として調製したところ、前者は多量の不溶性微粒子が残存し、後者は完全に可溶化されることを見出した。THP-1細胞における細胞毒性もIL-1β産生活性もCLdの方がCLwよりも10倍程度強く、CLの活性は可溶性に大きく影響されることも示した。また、CLwの不溶性微粒子がIL-1β産生活性を担っており、この活性はNLRP3阻害剤で抑制されることを示したが、詳細は明らかにできていない。そこで本研究では、CLwとCLdの細胞毒性ならびにIL-1β産生活性におけるNLRP3インフラマソーム経路の関与を精査することを目的とした。 CLwとCLdの細胞毒性はTHP-1細胞でもNLPR3をノックアウト(KO)したTHP-1細胞でも同様に誘導された。CLdはカスパーゼ-1活性化を誘導せず、NLPR3 KO細胞でもIL-1β産生を誘導できるのに対し、CLwによるカスパーゼ-1活性化もIL-1β産生活性もNLPR3 KO細胞では認められなくなった。インフラマソーム形成の際に凝集化するASCタンパク質を強制発現させた細胞で実験した結果、CLwのみがGFP凝集化能を有し、この活性はNLRP3阻害剤で抑制された。以上より、CLwとCLdの細胞毒性およびCLdのIL-1β産生活性にはNLRP3インフラマソーム経路は関与せず、CLwによるIL-1β産生活性にのみNLRP3インフラマソーム経路が関与することが明らかになった。従って本来の合成CLペプチドの生理活性にNLRP3は関与しないことが示された。