第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-28] 局所麻酔薬の学生実習項目で使用するシミュレーター作成および動物実験との結果比較

〇荒 敏昭1 (1. 松歯大 歯科薬理)

キーワード:局所麻酔薬、学生実習、コンピューターシミュレーション

【目的】動物愛護の観点から実験動物の使用数を削減することが望まれており、現在は実験動物代替法として薬物動態や循環器作用薬などのシミュレーターが学生実習で使用されている。演者は本学で行っている局所麻酔薬の学生実習項目の代替法を開発することを目的として、コンピューターシミュレーションを行うためのモデル式を構築し、昨年の歯科基礎医学会で報告した。今回はシミュレーターを作成し、今年度の学生実習で使用したのでその結果を報告する。さらに、過去の動物実験の結果と今回のシミュレーターによる結果を比較する。
【方法】2019および2021、2022年度の学生実習の結果 (n = 51) を解析用のデータとして使用した。モルモット背部に局所麻酔薬を皮下注射し、一定時間ごとに刺激針で6回刺激して皮膚収縮を起こした回数をスコア値(0〜6)とした。薬物適用からの経過時間、薬物の種類、アドレナリン添加の有無をもとにスコア値を予測するモデル式を作成し各パラメータ値を推定した。その推定値をもとにパラメータ値を乱数で作成し、各時間におけるスコア値を算出してシミュレーションを行った。50%の個体で局所麻酔薬の作用が消失する時間(50%生存期間)を生存時間解析で求め、推定されたパラメータ値を調整することで、動物実験から得られた時間とほぼ同じになるようにした。調整後のパラメータ値を使用してシミュレーターを作成し、このシミュレーターを学生実習で使用して120分までのスコア値を得た (n = 65)。
【結果】実験動物の結果と同様にシミュレーターではすべての薬物においてスコア値が上下に変動しながら増加する結果が得られた。50%生存期間も動物実験と今回のシミュレーション結果で同程度の値が得られた。
【考察】今回作成したシミュレーターによって動物実験と同程度の結果が得られたことから、動物実験代替法となりうることが示された。