[P3-2-35] メチルグリオキサールは口腔内細菌の増殖を抑制する
キーワード:メチルグリオキサール、Porphyromonas gingivalis、Streptococcus mutans
【目的】メチルグリオキサール(MG)はCH3COCHOの化学式を持つケトアルデヒドで、生体内では解糖系の副産物として生じる。近年、食品に含まれるMGが殺菌作用を示すことが注目されているが、口腔内細菌の増殖に対するMGの影響については十分に解明されていない。そこで、口腔内細菌の増殖に対するMGの影響について解析した。 【材料および方法】口腔内細菌としてPorphyromonas gingivalis(P. g.)およびStreptococcus mutans(S. m.)を用いた。96well plateに1%Yeast Extract含有Brain Heart Infusion培地で懸濁した菌を播種し、種々の濃度でMGを添加し37度で24時間嫌気培養後、620nmの波長で吸光度を測定した。P. g.の培養系にはへミン・メナジオン・システインを添加した。また、培養後に遠心分離で菌体を回収後PBSで洗浄し、P. g.はヒツジ血液寒天培地、S. m.はMitis Salivarius寒天培地を用いて37度の嫌気的環境で24時間静置培養し最小殺菌濃度(MBC)を判定した。 【結果】液体培地で培養したP. g.は5mM以上のMG存在下で増殖が抑制された。血液寒天培地で判定したP. g.のMBCは同様に5mMであった。液体培地でS. m.は2.5mM以上のMG存在下で増殖が抑制された。寒天培地で判定したS. m.のMBCは10mMであった。 【結論】MGは5mM以上の濃度でP. g.の増殖を抑制し、P. g.に対するMBCは5mMであった。また、MGは2.5mM以上の濃度でS. m.の増殖を抑制し、S. m.に対するMBCは10mMであった。これらの結果から、MGは口腔内細菌の増殖を抑制することが示された。