The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Symposium

US8

「歯科臨床と基礎研究を繋ぐ口腔粘膜研究の最前線」
 スポンサー:第一三共ヘルスケア株式会社

Sun. Sep 17, 2023 4:00 PM - 5:30 PM C会場 (133講義室)

座長:小野 堅太郎(九歯大 生理)、加藤 隆史(阪大 院歯 口腔生理)

4:00 PM - 4:20 PM

[US8-01] The support efforts for the oral mucositis induced by cancer treatment.

〇Takao Ueno1 (1. Dept Dent, Nat Cancer Ctr Hosp)

Keywords:口腔粘膜炎、がん口腔支持医療、がん

口腔粘膜炎は、がん治療、特に薬物療法・頭頸部への放射線療法などにおいて問題となることが多い有害事象の一つである。各種分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬などの様々な新規薬剤の登場により、今までの一般的な殺細胞性の抗癌薬とは発生機序・病態の異なる口腔粘膜炎も多く見られるようになっている。口腔粘膜炎は患者のQOL低下ばかりでなく、抗がん治療の強度の減弱あるいは中断をもたらし、その治療効果に負の影響を及ぼす。臨床的に克服すべき問題であるにもかかわらず、エビデンスに基づいた確立した予防法や治療法に未だ乏しいのが現状であり、実臨床では担当者の知識と施設の経験則で対処されていることが多い。
 本邦では日本がんサポーティブケア学会(JASCC)と日本がん口腔支持療法学会(JAOSCC)が協働して、がん支持医療の国際学会であるMultinational Association of Supportive Care in Cancer(MASCC)のガイドラインに準拠しつつわが国の実情にあわせた粘膜炎管理のガイダンス(手引書)を上梓し、がん支持医療として粘膜炎に対処する医療職を対象に、現時点で判明している粘膜炎の機序、ある程度のコンセンサスを得られている粘膜炎の予防や治療の具体的な指針を示している。
 本講演では、がん治療に付随して生じる口腔粘膜炎の現状、上記ガイダンスに従い実際に行っている、当院での口腔粘膜炎の予防・治療の対応、また口腔粘膜炎の新規治療の確立のために行っている取り組みについて述べさせて頂きたい。